大きな体に大きな鼻、可愛らしいアザラシのイメージとはかけ離れた見た目のゾウアザラシ。
実際に見てみたいという人も多くいると思います。
今回はそんなゾウアザラシを見られる場所やその生態について紹介します。

じっくり見るとつぶらな瞳が可愛らしいキタゾウアザラシのオス。

結論…国内でゾウアザラシを見られる施設はない

先に結果から申し上げると、現在(2025年4月時点)で生きたゾウアザラシを見られる施設は国内にはありません。
入手方法の難しさから、今後国内で飼育展示される可能性はかなり低いと考えられます。

キタゾウアザラシはかつて国内の施設で見ることができたが現在は展示を終了している。



そもそもゾウアザラシはどこに住んでる?

ゾウアザラシと一言で言っても世界中には2種のゾウアザラシがいます。
世界で最も大きなアザラシでもあるミナミゾウアザラシは、亜南極周辺に生息しています。

ミナミゾウアザラシのメス(左)とオス(右)。雌雄で体格差があるのがゾウアザラシの特徴。



次に体の大きいキタゾウアザラシはアメリカ大陸の西海岸に生息しています。

どちらの種も一生の大半を外洋で過ごし、繁殖期になると海岸に集まってハーレムを形成します。

キタゾウアザラシのハーレム。1頭のオスが数十頭のメスを独占する。



ミナミゾウアザラシは野生下の個体数が減少しており、世界的に保護されてます。
例えば「南極のあざらしの保存に関する条約」によって締約国(日本を含みます)はミナミゾウアザラシを含む南極域に生息するアザラシの捕獲が禁止されています。
他にもワシントン条約によって生きた個体だけでなく毛皮や骨なども商業的な国際取引が規制されています。
また彼らの繁殖地の多くがユネスコの世界遺産や各国の国立自然保護区などに指定されているため、人の立ち入りも厳しく制限されています。

キタゾウアザラシもかつて絶滅寸前まで追い込まれた過去があり、アメリカでは海棲哺乳類保護法によってアザラシの捕獲が禁止されています。

キタゾウアザラシは大回遊する生き物だったため、乱獲による絶滅を免れた。


こういった理由から日本に新たにゾウアザラシが持ち込まれることはほぼないといっていいでしょう。
現地でも衰弱したゾウアザラシを保護することはありますが、基本的にはリハビリ後に放獣するので、施設で長期間飼育されることはありません。

国外なら会える!?その場所とは?

先ほどの理由から、海外の水族館、動物園でもゾウアザラシは展示されていません。
なのでゾウアザラシに会う方法としては大きく2つになります

生息地で野生個体を観察する

一部の地域ではゾウアザラシの観察ツアーを行っています。
専門スタッフの案内のもと、繁殖地を歩くので時期を間違えなければほぼ確実に見ることができます。
私も過去に2回、アメリカ・アニョヌエボ州立公園で野生のキタゾウアザラシに会っています。
現地の紹介はこちら↓


保護施設で会う

迷子やケガなどさまざまな理由で漂着した野生生物を保護する施設が各国に設けられています。
保護施設では普及活動の一環として施設を公開しているので、運が良ければゾウアザラシも見れるかも、、、?
ただし、健康状態によってはすぐに放獣されたり、完全非公開エリアにいることもありますので確実な方法とは言えません。
保護施設のHPではどんな生き物を保護しているか紹介しているので、見てみるのがおすすめです。

アメリカ・サンフランシスコにあるMarine mammal centerのHP↓



過去にゾウアザラシに会えた国内施設

ミナミゾウアザラシは過去に現地から持ち込まれた個体が国内複数の施設で展示されていました。
最後に飼育されていたのは、三重県の伊勢シーパラダイスにいたメスの丸子(2013年死亡)です。

伊勢シーパラダイスで飼育されていたミナミゾウアザラシの丸子。



キタゾウアザラシは現地から輸入されたことはありませんが、なんと保護個体が展示されていました。
最近では2017年に山形県の加茂水族館が保護したキタゾウアザラシのメスを飼育展示していました(2022年に死亡しました)。

国内で飼育されていたゾウアザラシの多くははく製になって博物館で展示されています。

2024年に国立科学博物館で行われた大哺乳類展3ではゾウアザラシのはく製が展示されていた。

いかがだったでしょうか?

人気のゾウアザラシの生態や飼育歴について紹介しました。
もし、また彼らが展示される機会があれば必ず見に行っていただきたいと思います。

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