ゾウアザラシはアザラシの仲間で最も大きくなるグループです。
その名の通りゾウのような見た目をしており、普段水族館で会える小さくてキュートなアザラシとは全く違った印象をしています。
今回はそんなゾウアザラシの特徴を紹介します!

見た目はまるでゾウ

ゾウアザラシの大きな特徴はその大きな鼻と大きな体です。

ミナミゾウアザラシのオスのはく製、となりの人と比べるとその大きさが分かる。



最も大きくなるミナミゾウアザラシのオスは体長が3mを越え、体重は4トンにもなります。
日本の動物園で見ることができるアジアゾウの体重も4トンなので、まさに海のゾウと言えますね。

またその大きな鼻も特徴で、特にオスのアザラシでは顕著に飛び出ています。
これは息を吐くときに体内の水分が出ていくのを抑えるフィルターの役割をしています。

キタゾウアザラシのオス、地面につくほど長い鼻が特徴的。


繁殖期には数カ月飲まず食わずでハーレムを維持する彼らにとって、体内の水分を逃がさないようにするのに都合のいい形になっています。
またこの鼻を高く持ち上げて自身をアピールする行動を行うこともあります。

キタゾウアザラシのハーレム。海岸を埋め尽くすほどのアザラシが集まってくる。



ゾウアザラシは2種のアザラシの総称

ゾウアザラシとひとまとめに呼びますが、実は2種類のアザラシが含まれています。
アメリカ西海岸など、北半球で見ることができる「キタゾウアザラシ」と、亜南極など南半球で見ることができる「ミナミゾウアザラシ」がいます。
外見は似ていますが、ミナミゾウアザラシの方が体が大きく、鼻の大きさも目立ちます。

ミナミゾウアザラシのオス(大きい方)とメス(小さい方)

キタゾウアザラシのオス。ミナミゾウアザラシよりも目つきが穏やかなのが特徴



暮らしもダイナミック!

ゾウアザラシは換毛期と繁殖期の2回、陸上で過ごしますが、それ以外の時期は狙うを求めて海で過ごします。
キタゾウアザラシではなんと2万キロ以上(北海道から沖縄を5往復できるぐらい)も泳いでいった記録もあります。

キタゾウアザラシの繁殖地とアニョヌエボ島にいたアザラシの回遊経路。


過去には水族館でも見ることができた

2種類のゾウアザラシはかつて国内の水族館で見ることができました。
ミナミゾウアザラシは1950年代から上野動物園、江ノ島水族館、伊豆三津シーパラダイスなど複数の施設で飼育された歴史があります。
特に江ノ島水族館(現・新江ノ島水族館)では立派なオスのミナミゾウアザラシが飼育されていました。
最後にミナミゾウアザラシが飼育されていたのは、三重県にある伊勢シーパラダイスです。

江ノ島水族館で飼育されていたミナミゾウアザラシアザラシ。なんとアザラシに脚立をかけて給餌を行っていた。


「あっかんべー」をするので有名になったメスのミナミゾウアザラシ「丸子」です。
飼育日数が世界最長記録(8858日)を残して、2013年に亡くなりました。

伊勢シーパラダイスで飼育されていたミナミゾウアザラシの丸子。



キタゾウアザラシは国内で数例しか飼育例がありません。
最近では2017年に山形県の加茂水族館が保護したキタゾウアザラシのメスを飼育展示していました。

加茂水族館で飼育されていたキタゾウアザラシのメス。

残念ながら2022年に亡くなってしまい、この個体を最後にゾウアザラシの飼育は行われていません。

いかがだったでしょうか?
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