春先になると、
「アザラシが海岸に打ちあがっていた」
「衰弱したオットセイを保護した」
といった、野生のひれあし類に関する話題を目にすることがあります。
ではそもそも、日本の海岸でひれあし類が見られるのは異常なことなのでしょうか?
その理由や、もし見かけたときにどう対応すればいいのかを、
現役ひれあし類飼育員のももこんちょが、できるだけ分かりやすく解説していきます。
本記事はアフィリエイト広告が含まれています。
海岸にいる=何かしらの異常がある可能性が高い
まず、日本国内で見られるひれあし類は以下の7種類です。
〇アシカの仲間
〇アザラシの仲間
画像を押すとそれぞれの詳しい生態を見ることができます。
ゴマフアザラシの一部の個体やゼニガタアザラシは、
一年を通して北海道沿岸で暮らしています。
とはいえ、その多くは岩場や漁港など、すぐに海へ逃げられる場所にいます。
こちらでは北海道稚内の漁港にいるゴマフアザラシの様子を紹介しています↓
彼らにとって、人間やキツネ、場合によってはカラスや海鳥もストレスや脅威になります。
そのため、外敵が入りにくく、なおかつ安全に逃げられる環境を好むのです。
つまり――
人が普通に歩いているような砂浜にいる時点で、かなり珍しい状況といえます。
さらに、アザラシの赤ちゃん(ゴマフアザラシの場合、生後約1か月の白い毛の時期)は、基本的に母親と一緒に行動します。
授乳をしたり、一緒に泳ぐ練習をしたりと、
生きていくための大切な時期です。


そのため、白い毛の赤ちゃんが1頭だけでいる場合は、母親とはぐれてしまっている可能性があります。
また、それ以外のひれあし類は、そもそも砂浜に上がること自体がほとんどなく、海上や流氷の上で休むのがほとんどです。
(トドが岩場に集まることはありますが、砂浜には来ません)

そのような種類が海岸に上がっている場合は、
・プラスチックごみが絡まっている
・病気やケガで衰弱している
といった、何らかのトラブルが起きている可能性が考えられます。

打ちあがったひれあし類はどうなるの?
海岸に上がってしまったひれあし類は、その後いくつかのパターンに分かれます。
① 自力で海に戻る
必ずしも異常とは限らず、一時的に上陸しているだけのケースもあります。
数時間〜数日で自分から海へ戻ることもあります。
② 水族館などで保護される
明らかに衰弱している場合、救助可能であれば保護されることがあります。
ただし、回復できない場合や、野生復帰できないケースも少なくありません。
③行方不明、死んでしまう
衰弱したひれあし類を発見できても、必ず保護できるとは限りません。
人間がたどり着けないところにいたり、現場に到着した時には手遅れということもあります。
また最近では、野生のひれあし類が鳥インフルエンザなどの感染症にかかっていることがたびたび報告されています。
残念ながら、国内の水族館の多くは、保護個体用の隔離施設や機材が十分にそろっているわけではありません。
国内唯一のアザラシ保護施設の紹介はこちら↓
また保護に向かうスタッフも、野生個体専属チームというわけではなく、ほとんどが現役の飼育員さんです。
そうなると、既に飼育展示している他の生物にも病気がうつる可能性がありますし、人間にもうつる可能性も出てきます。
さまざまな可能性やリスクを考慮すると、すべての事例に対応することは非常に難しい現状です。
※軽度な場合は、その場でごみを取り除いてリリースされるケースもあります。
実際に救助活動を行っているオホーツクとっかりセンターの飼育員さんのエッセイもあります。
国内で最もアザラシを助けてきた人のおひとりと言える方で、体験談が多く書かれていました。
オススメの書籍ですのでぜひご覧ください!
見つけたときに絶対にしてはいけないこと
触らない(海に戻そうとしない)
可愛いから、助けたいから、どんな理由があっても専門家以外は触ってはいけません。
先ほどお伝えした通り、どんな病気を持っているかが分からないからです。
そして、かわいい見た目をしていても、彼らは野生動物なので襲ってくることがあります。

記念写真を取ろうと近付くだけでも気が立ってしまいますし、彼らの体力を奪ってしまうことにもなります。
また、イルカやクジラと違い、ひれあし類は体が乾いてすぐに弱ってしまうことはありませんので無理に海に戻す必要はありません。
ちなみに連れて帰ると、鳥獣保護法などの法律によって罰せられるので絶対にやめましょう。
私たちにできること
①近くの水族館や自治体に連絡する
専門家に連絡をして、状況を伝えてください。
無理のない範囲で生き物のいる場所や色・形が分かる写真があればその後の対応がスムーズになります。
(どの種類か、保護が必要か、人が立ち入れる場所なのかを専門家が判断できます)

時々あるのが、「1mぐらいのたぶんアザラシ」と聞いて現場に行ったら2mぐらいのオットセイだったという、必要なものが全く違うパターンです。
電話だと、なかなかコミュニケーションを取るのが難しいので、写真があればすごく助かります。
もちろん、絶対に無理してはいけません。
②SNSに投稿しない
めったにないことだから、みんなに見てほしい!という気持ちはすごくわかりますが、拡散はやめておきましょう。
既に水族館とかに連絡済みなのに、SNSを見た人がさらに連絡して現場が混乱することがあります。
また、情報が広がると「私も見てみたい」と人が集まってしまいます。
気配を気にして生き物が逃げてしまったり、専門家が立ち入れなくなって適切な対応ができなくなることがあります。
必要なお知らせは、後日自治体や水族館が出しますので、生き物のためにも個人で発信するのはやめておきましょう!
ということで、今回は海岸にいるひれあし類のその理由と対応について紹介しました!
まとめ
・ひれあし類にむやみに近づくのは危険
・専門家に連絡して、個人での情報拡散はしない
どんな理由であっても、野生のひれあし類に出会える機会はとても貴重です。
だからこそ、その体験を安全で良いものにするために、正しい対応を知っておくことが大切です。
本サイトではひれあし類(アシカ、アザラシ、セイウチ)に関するさまざまな情報を発信しています。
ぜひ他の記事もご覧になってください。
こちらもオススメ!↓
















