セイウチとトドって何が違うのでしょうか?どちらも水族館で見ることができるのですが、イマイチ説明はできないという人も多いと思います。今回はそんなセイウチとトドの生態について比べてみました!

外見の違い

セイウチの大きな特徴は口からはみ出すほどの大きな牙です。牙はメスもオスもどちらも持っていて、氷の上に上がる時の支えやオス同士の争いの時に役立ちます。(例外としてコドモの頃や、抜歯した個体では牙が見えないことがあります)

コドモのころは短い牙は成長とともに伸びてくる。1mを超えることもある。
コドモのころは短い牙は成長とともに伸びてくる。1mを超えることもある。

それに対してトドにも鋭い牙はありますが、口からはみ出すほどではありません。この牙は魚を咥えるときに役立ちます。

コドモのころは短い牙は成長とともに伸びてくる。1mを超えることもある。
トドの牙はセイウチよりはるかに小さい。しかし鋭いので噛まれたらひとたまりもない。

他にもセイウチには耳介(耳たぶ)がなく、目の横にある耳は穴が開いているだけになっています。

セイウチ:目の後ろにある小さな穴が耳の穴。
セイウチ:目の後ろにある小さな穴が耳の穴。

トドには小さいですが耳介があります。これはセイウチとトドを見分けるのにとても分かりやすい特徴ですね!

トド:目の後ろには小さいが耳たぶがある。
トド:目の後ろには小さいが耳たぶがある。

またセイウチにはほとんど体毛が生えていないので、肌がむき出しになっています。体は紫がかったピンク色をしていて、体温が上がるとより赤味を増します。

セイウチの顔周辺。よく見ると少し体毛が見えるが、ところどころ皮膚が露出している。
セイウチの顔周辺。よく見ると少し体毛が見えるが、ところどころ皮膚が露出している。
セイウチのオトナとコドモ。年齢によっても肌の色が違っている。
セイウチのオトナとコドモ。年齢によっても肌の色が違っている。

それに対してトドには短い体毛がたくさん生えて、オトナのオスは首の周りの毛がたてがみ状になっています。体は茶色~金色をしています。

トドの体色。体が濡れていると茶色に見える。
トドの体色。体が濡れていると茶色に見える。
トドの首周辺。びっしりと体毛が生えていて肌は見えないのが特徴。
トドの首周辺。びっしりと体毛が生えていて肌は見えないのが特徴。

生物学上の分類の違い

セイウチもトドも同じ哺乳類で、鰭脚類(ききゃくるい、ひれあしるい)というグループの仲間になります。ひれあし類には他にもアシカやアザラシも含まれます。

ひれあし類の分類図。
ひれあし類の分類図。

生息地の違い

セイウチは北極や亜北極などの特に冷たい海域に生息しています。夏にはメスやコドモは海氷に乗って生活します。

オスがコドモを踏みつぶしてしまわないように、メスとコドモは海氷上で生活する。
オスがコドモを踏みつぶしてしまわないように、メスとコドモは海氷上で生活する。

トドは北太平洋やベーリング海、オホーツク海に生息しています。セイウチと異なり、流氷を避けるように生活場所を変えています。秋~初夏までは日本周辺にも出現し、北海道の一部の地域では漁港などにも表れます。

トドの群れ。時には数十~数百頭も集まることがある。
トドの群れ。時には数十~数百頭も集まることがある。

エサの違い

セイウチの主なエサは二枚貝やゴカイなどの無脊椎動物です。砂の中に隠れたエサを、口の周りにたくさん生えているヒゲで探し出します。

セイウチはアサリなどの二枚貝などを好む。
セイウチはアサリなどの二枚貝などを好む。
牙以外にも小さい歯が生えているので、それで貝殻を砕いて中身を食べている。
牙以外にも小さい歯が生えているので、それで貝殻を砕いて中身を食べている。

トドの主なエサはマダラやイカナゴなどの魚やタコなどの頭足類です。捕らえたエサは丸呑みしますが、大きなエサは牙で抑え込んだうえで振り回してちぎって食べます。

トドは世界最大のタコであるミズダコもよく食べている。
トドは世界最大のタコであるミズダコもよく食べている。
小さい魚は丸呑みしてしまう。
小さい魚は丸呑みしてしまう。

まとめ

いかがだったでしょうか?セイウチのトドは似ているようで、その生態には様々な違いがありました。別のページでは、それぞれの詳しい生態や国内で見ることができる施設も紹介してますので、ぜひご覧ください。