アシカとアザラシって何が違うのでしょう?
どちらも水族館で見ることはできますが、あまり違いが分からない人も多いと思います。
今回はそんなアシカとアザラシの違いについてまとめました!

生物学上の分類の違い

アシカもアザラシも同じ哺乳類の仲間で、鰭脚類(ききゃくるい、ひれあしるい)というグループの仲間になります。
ひれあし類の中には他にもセイウチが含まれます。


外見の違い

一つ目の外見の違いは耳です。
アシカの仲間には耳たぶ(耳介)がありますが、アザラシの仲間には耳たぶがありません。

アシカの目の後ろには小さい耳たぶ(耳介)がある。写真はカリフォルニアアシカ。
アザラシには耳たぶがなく、目の後ろには小さな穴が開いている。写真はゴマフアザラシ。



また前足(前肢)の形も違っています。
アシカの仲間は前肢が発達しているので、自身の体重を支えて歩くことができます。
またその前肢を羽ばたかせるように動かして水中を泳ぎます。

アシカの仲間は前足で体を支えて走ることもできる。写真はトド。
アシカの仲間は水中を飛ぶように泳ぐ。写真はカリフォルニアアシカ。



それに対し、アザラシの仲間は前肢が小さいので、体重を支えることはできません。
水中では後ろ足(後肢)を魚のヒレのように左右に振って泳ぎます。

アザラシの仲間は前肢で体重を支えられないので、地面を這って歩く。写真はゴマフアザラシ。
アザラシの仲間が泳ぐときは主に後ろ足を使う。写真はゴマフアザラシ。


生息地の違い

アシカやアザラシも種類によって(例えばアザラシの仲間でもゴマフアザラシとゼニガタアザラシで)、生息地が違います。
ですが、アシカの多くの種は比較的温暖な海域に生息しているのに対し、アザラシの多くの種は流氷があるような寒冷な海域に生息しています。

代表的なアシカであるカリフォルニアアシカは、北アメリカ南部~メキシコの沿岸に生息しています。

カリフォルニアアシカの分布。比較的温暖な地域の沿岸域を利用している。



繁殖期にはカリフォルニア州やメキシコにある島々で繁殖をします。

カリフォルニアアシカの群れ。町中の港で休息することも。


それに対しアザラシの代表種であるゴマフアザラシは、北海道以北の北太平洋に分布しています。

ゴマフアザラシの分布。寒冷な地域を主に利用している。



そして繁殖期になると流氷上で出産・子育てを行います。

アザラシは氷上を利用することが多い。写真はゴマフアザラシ。



ハワイアンモンクアザラシなど一部の種を除けば、アザラシの多くの種が流氷がある海域を繁殖地として利用しています。

エサの違い

アシカとアザラシの多くの種は魚や頭足類を食べています。
また季節や海域によって利用するエサを変化させているため、年中を通して多種多様なエサを食べています(「日和見食性」といいます)。
そういった意味ではアシカとアザラシでは利用するエサに大きな違いはありません。

例えばカリフォルニアアシカだとイワシ、メバル、ヤリイカ、タラなどを利用します。
比較的遊泳力の高い魚も利用でき、イワシやヤリイカの群れに、アシカが突撃して捕食する映像はたびたびネットやテレビでも見かけます。

遊泳力のあるイワシも捕食する。
時期によってはイカも利用する。



それに対しゴマフアザラシは、イカナゴ科、イカ、タコ、カジカなどを利用しています。

ゴマフアザラシは、砂にもぐるイカナゴをよく捕食する。
アザラシは魚価の高いタコも捕食するので、たびたび漁業への被害が報告されている。
カジカのようなトゲがある魚も食べている。


カリフォルニアアシカと比べると、遊泳力の低い底生性の生物も利用します。

またアザラシの仲間の中には、深海まで潜ってエサを取る種(キタゾウアザラシ)や、プランクトンを利用する種(ヒョウアザラシなどの南極に暮らすアザラシ)もいます。

まとめ

いかがだったでしょうか?
アシカとアザラシは似ているようで、外見や生態にはさまざまな違いがありました。
別ページでは、種類ごとの詳しい生態や国内で見ることができる施設も紹介してますので、ぜひご覧ください!