作成日:2023/1/12 更新日:2023/11/1

英名California sea lion
学名Zalophus californianus
分類アシカ科
カリフォルニアアシカ属
分布東部北太平洋の沿岸
大きさオス:240cm, 300kg
メス:180cm, 100kg

カリフォルニアアシカとは?

カリフォルニアアシカは日本の水族館・動物園では最も多く飼育されているアシカです。名前の通りカリフォルニア州を中心に広く分布しており、大都市の港でも間近に野生の姿を観察することもできるため、世界的にも最も有名なアシカといえます。

日本の水族館で「アシカ」といえば、カリフォルニアアシカであることが多い。
日本の水族館で「アシカ」といえば、カリフォルニアアシカであることが多い。

分布・回遊

カリフォルニアアシカはカリフォルニア湾を含む北アメリカ南部~メキシコの沿岸に生息しています。(1)

カリフォルニアアシカの分布
King  (1983)およびLaake et al.(2018)を参考に作成
カリフォルニアアシカの分布
King (1983)およびLaake et al.(2018)を参考に作成

夏はアメリカのカリフォルニア州やメキシコにいくつかある島々で繁殖(交尾・出産)をします。(1) 繁殖期が終わるとオスは餌を求めて北へ回遊します。それに対しメスや幼獣は繁殖地付近に留まることが分かっています。(2)

カリフォルニアアシカの生息地と繁殖地の位置
Laake et al. (2018)を参考に作成

一部の地域では河川にも生息していることが分かっています。

エサ

カリフォルニアアシカは季節や場所によって異なる魚種を捕食しています。また環境の変化に対応するように、時代によって利用する魚種を変えています。1990年代はカタクチイワシやマイワシがほとんどを占めていましたが、2010年代に入ってからはメバル類やヤリイカ、タラなどさまざまな魚種を利用するようになっています。(4)

90年代にはイワシ餌として主に利用されていた
(写真はマイワシ)
90年代にはイワシ餌として主に利用されていた
(写真はマイワシ)
近年ではさまざまな種類の魚を利用するようになっている。
(写真はシロメバル)
近年ではさまざまな種類の魚を利用するようになっている
(写真はシロメバル)
魚以外にもイカやタコも利用する。
(写真はヤリイカ)
魚以外にもイカやタコも利用する
(写真はヤリイカ)

人との関わり

サンフランシスコやロサンゼルスなどの大都市でも見ることができ、世界的にも最も身近に見られるアシカといえます。

カリフォルニアアシカの生息地と大都市の位置
カリフォルニアアシカの生息地と大都市の位置
サンフランシスコの海沿いの観光名所である、フィッシャーマンズワーフ内のピア39では間近に野生のカリフォルニアアシカを見ることができる。
サンフランシスコの海沿いの観光名所である、フィッシャーマンズワーフ内のピア39では間近に野生のカリフォルニアアシカを見ることができる。

その反面、人間活動や海洋環境の変化には敏感な生き物です。もともと1000年以上前からカリフォルニアアシカは狩猟されていました。皮下脂肪から取れる油を売るためです。1860~1888年には乱獲が行われ、カリフォルニアアシカの個体数が大幅に減少しました。1972年以降はアメリカで施行された「海洋哺乳類法」によってカリフォルニアアシカが保護されたこともあり、それ以降個体数は回復しています。(5)

現在ではアメリカから野生のカリフォルニアアシカを輸入することは困難である。そのため日本の水族館ではカリフォルニアアシカの繁殖が大きな課題になっている。
現在ではアメリカから野生のカリフォルニアアシカを輸入することは困難である。そのため日本の水族館ではカリフォルニアアシカの繁殖が大きな課題になっている。

しかし今後の海洋環境の変化によってまた数が減る可能性もあります。過去のカリフォルニアアシカの個体数と海洋環境を比較した研究によると、カリフォルニアアシカは餌生物に影響を与える海水温の変化に特に敏感であることが分かっています。アメリカ西海岸の海面水温が1℃上昇するとアシカの個体数は増えなくなり、2℃上昇すると個体数が7%減少すると予測しています。(3)

さまざまな餌を巧みに利用する彼らにとって、環境の変化は生存や繁殖に大きく影響する。
さまざまな餌を巧みに利用する彼らにとって、環境の変化は生存や繁殖に大きく影響する。

カリフォルニアアシカに会える動物園・水族館

〇北海道
登別マリンパークニクス

〇東北
仙台うみの杜水族館
男鹿水族館GAO
秋田市大森山動物園
鶴岡市立加茂水族館
東北サファリパーク

〇関東
アクアワールド茨城県大洗水族館
鴨川シーワールド
しながわ水族館
マクセル アクアパーク品川
サンシャイン水族館
上野動物園
横浜・八景島シーパラダイス
新江ノ島水族館
よみうりランド
千葉市動物公園

〇北信越
新潟市水族館 マリンピア日本海
魚津水族館
のとじま水族館
いしかわ動物園
越前松島水族館
茶臼山動物園
長野市城山動物園

〇東海
下田海中水族館
伊豆・三津シーパラダイス
あわしまマリンパーク
浜松動物園
名古屋市東山動植物園
南知多ビーチランド
世界淡水魚園水族館 アクア・トトぎふ
鳥羽水族館
伊勢シーパラダイス
イルカ島海洋遊園地

〇中国
海遊館
天王寺動物園
神戸市立王子動物園
須磨水族園
城崎マリンワールド
アドベンチャーワールド
しまね海洋館 アクアス
みやじマリン宮島水族館
しものせき水族館 海響館
愛媛県立とべ動物園
桂浜水族館

〇九州
マリンワールド海の中道
鹿児島市平川動物公園

参考文献

1.King, J. E. 1983. Seals of the World.(Second Edition) Cornell University Press, Ithaca, New York. 240 pp.
2.Heath, C. B., & Perrin, W. F. (2009). California, Galapagos, and Japanese sea lions: Zalophus californianus, Z. wollebaeki, and Z. japonicus. In Encyclopedia of marine mammals (pp. 170-176). Academic Press.https://doi.org/10.1007/s00227-018-3424-x
3.Laake, J.L., Lowry, M.S., DeLong, R.L., Melin, S.R. and Carretta, J.V. (2018), Population growth and status of california sea lions. Jour. Wild. Mgmt., 82: 583-595. https://doi.org/10.1002/jwmg.21405
4.Robinson, H., Thayer, J., Sydeman, W.J. et al. Changes in California sea lion diet during a period of substantial climate variability. Mar Biol 165, 169 (2018).https://link.springer.com/article/10.1007/s00227-018-3424-x
5.Masper, A., Gallo-Reynoso-Reynoso, J. P., Cisneros-Mata, M. Ángel, & García-Hernández, J. (2019). Review of California sea lion (Zalophus californianus) abundance, and population dynamics in the Gulf of California. Revista De Biología Tropical67(4), 833–849. https://doi.org/10.15517/rbt.v67i4.35965