ここで会えたひれあし類

前回の記事ではしまね海洋館アクアスのひれあし類、そしてニホンアシカのはく製の紹介をしました。


今回はなんと、世界で唯一成獣オスのニホンアシカのはく製がある「島根県立三瓶自然館サヒメル」にも行くことができました。
まさに感無量、ぜひ人生で一度は見てほしい貴重なはく製です。
それでは紹介していきましょう!

1月末時点では道中に雪が積もっていた。道中は融雪されているので危険な道ではない。



最速でニホンアシカのはく製へ!

ドキドキで急ぎ足になりつつ、ニホンアシカのはく製がある「環日本海地域の生い立ちと自然」エリアに到着です。

ついに会える、、、!この奥にいる!



ここでは島根県の大地と自然環境の成り立ちについて紹介しています。
島根県に由来のある化石や岩石標本が展示されていました。
その奥に、、、

大きなアシカのはく製が!



いた‼‼‼ついに出会うことができました、ニホンアシカの成獣オスのはく製、通称「リャンコ大王」です。

国内の水族館でよく見かけるカリフォルニアアシカ並みの大きさ、生きていたらかなりの迫力だと思います。

世界で1体の成獣のはく製だが、実は1990年代になるまでニホンアシカであることが分かっていなかったらしい。



実際カリフォルニアアシカとは近縁種だという説もあるのですが、見た目の違いとして、オデコのコブ(正式には矢状稜(しじょうりょう))がニホンアシカの方が大きいことが分かっています。

頭骨も展示されていた、左から成獣オス、亜成獣オス、幼獣。
リャンコ大王の頭骨、全体の大きさもさながら、頭頂部の出っ張りが非常に目立つ。



この標本は島根県の竹島(りゃんこ島とも呼ばれてました)で捕獲された、当時その大きさや気性の粗さから地元漁師に恐れられていた個体です。
首の傷が捕殺されたときに銃の玉が貫通した跡だそうです。

耳の近くだけ皮ふの状態が違う。もしこれが銃痕なら頭骨が残っていたのは奇跡に近い。
ちなみに尻尾はかなり短かった。



りゃんこ大王以外にも若いオスと幼獣のはく製がありました。

各成長段階のはく製が見られるのも、もちろんサヒメルだけ。

はく製の横には毛皮もありました。

毛皮はカバンなどの製品に加工されていたそう。適切な管理がされていたら絶滅は免れたかもしれない。

こんな間近で貴重な標本を見ることができて感動です。
でも、本当なら絶滅することなく、生きた姿を見てみたかった、、、。

どれだけ丁寧に管理された標本でも、時とともに劣化していくことは避けられません。
絶滅してしまったニホンアシカのためにできることはもうありませんが、せめてこの標本を通じて、たくさんの人にひれあし類のことを知ってもらえたらなと思います。

今後も自身の記事を通じて、ひれあし類の魅力を伝えていきたい。



ひれあし類の化石も展示

ニホンアシカの隣には中新世の日本海にいたとされる、ひれあし類の祖先・アロデスムスの化石のレプリカが展示されていました。

化石種にも会えるとは、とても充実した施設だった。



形は後ろの写真にもある、トドに似ている印象です。
ですが、あとで調べたところアシカではなく、現在のアザラシと同じ祖先から生まれた種類だということでした。

先ほどのニホンアシカの頭骨と比べると頭頂部はかなり違う形をしている。


実は国内のさまざまな場所でひれあし類の祖先の化石が発掘されています。
いつか化石種の紹介もしていきたいと思います。

他の展示も見ごたえあり、特に埋没林の展示は圧巻!

正直に言いますと、ニホンアシカのはく製が見れたら他の展示はさらっと見て終わりにしようかと思ってました。
地元でとれた標本などが少し展示されている施設なのかな、、、と事前リサーチをしっかりせずに訪問した私がいけなかったです。
非常に見ごたえのある展示物ばかりで、特に三瓶山にある埋没林を紹介するエリアは圧巻でした。

施設近くにある埋没林(噴火で灰に沈んだ森林)の木を館内で展示していた。その大きさに圧倒される。


またすれ違うスタッフさん皆さんが気さくに話しかけてくれて、展示物以外にも窓の外から見える生き物など色んな話を聞かせてもらえました。

現在でも見ることができる生き物の紹介もある。
一部の標本は実際に触ることができる。



退館する時も遠くにいるスタッフさんがお辞儀をして見送ってくださり、その温かさに周りの雪も気にならなくなるほどでした。

いかがでしょうか?
島根県立三瓶自然館サヒメルは貴重なニホンアシカのはく製が見れる他にも島根県の自然を楽しく知ることができる素晴らしい施設でした。
館内の雰囲気も素敵でしたし、埋没林の展示も面白かったので、次はゆっくり見学してさらに三瓶山も歩いてみたいなと思いました。
ぜひ皆さんも遊びに行って見てくださいね!