英名 | Leopard seal |
学名 | Hydrurga leptonyx |
分類 | アザラシ科ヒョウアザラシ属 |
分布 | 南極海 |
大きさ | オス:380cm, 500kg メス:330cm, 300kg |
ヒョウアザラシとは?
ヒョウアザラシはネコ科のヒョウを思わせる黒い斑点模様をもつアザラシです。
南極の食物連鎖の頂点におり、時にはペンギンも狙います。

アザラシの仲間ですが、体が大きくヒレの形も他のアザラシと異なっています。
まさに「海のヒョウ」にふさわしい生き物といえます。

分布・回遊
ヒョウアザラシは北太平洋と一部の北極海に生息しています。(1)

単独で行動することが多いため、正確な個体数や生活史は明らかになっていません。(1)
しかし若い個体は冬の間に亜南極まで移動することが知られており(2)、オーストラリアやニュージーランドでもたびたび目撃されています。

メスは10月~11月中旬に流氷上で出産し、約4週間授乳を行います。オスは子育てには参加しないので、氷の上では母子のペアが観察されることがあります。
12月~1月は交尾期にあたり(3)、オスは海中でメスに対して特徴的な鳴き声を出してアピールします。(1)
食性
ヒョウアザラシはひれあし類の中でも特殊な種で、プランクトンと大型の生物の両方をエサをしています。(4)(5)(6)
大型の生物としては、カニクイアザラシ、ウェッデルアザラシ、ミナミゾウアザラシなどの他のひれあし類やペンギンを捕食します。


ヒョウアザラシの尖った歯は、大きな獲物を捕獲するのに役立ちますが、実はナンキョクオキアミなどのプランクトンを集めるのにも役立っています。
ヒョウアザラシ歯は先端がギザギザと複雑な形をしています。
これが海水中のオキアミを漉しとるのに適しているそうです(7)。


人間との関わり
商業目的での狩猟は行われていません。人間を襲うことはほとんどなく、過去に1度だけ南極でヒョウアザラシによる死亡事故が起きています(8)。
南アフリカやオーストラリア、ニュージーランドなどの一部の地域ではヒョウアザラシが来遊することがあります。
各地の団体が体の模様で個体識別をするなど、さまざまな生態調査が行われています。

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ヒョウアザラシに会える動物園・水族館
現在ヒョウアザラシに会える施設は日本も含め世界中でありません。
【過去に展示していた施設】
・タロンガ動物園
シドニー市内にあるオーストラリア最古の動物園。1999年から2014年までヒョウアザラシが展示されていた。一時は雌雄で飼育展示されており、その間に本文で紹介した繁殖期の鳴き声など、飼育下の観察でヒョウアザラシの生態が明らかになった。
【標本を展示していた施設】
・南オーストラリア博物館(アデレードにある、南オーストラリアの文化や自然史を学べる博物館。はく製と頭骨を展示していた。)
参考資料
1.Rogers, T. (2018). Leopard Seal: Hydrurga leptonyx. In Encyclopedia of marine mammals. Academic Press. 550-552pp.[Link]
2.Hückstädt, L. (2015). Hydrurga leptonyx. The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T10340A45226422, http://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2015-4.
RLTS.T10340A45226422.en[Link]
3.Rounsevell, D., & Pemberton, D. (1994). The status and seasonal occurrence of leopard seals, Hydrurga leptonyx, in Tasmanian waters. Australian Mammalogy, 17(1), 97-102.[Link]
4.Krause, D. J., Goebel, M. E., & Kurle, C. M. (2020). Leopard seal diets in a rapidly warming polar region vary by year, season, sex, and body size. BMC ecology, 20, 1-15.[Link]
5.Hall-Aspland, S., & Rogers, T. (2007). Identification of hairs found in leopard seal (Hydrurga leptonyx) scats. Polar Biology, 30, 581-585.[Link]
6.Rogers, T., and Bryden, M.M. (1995). Predation of Adélie penguins
(Pygoscelis adeliae) by leopard seals (Hydrurga leptonyx) in Prydz Bay,
Antarctica. Can. J. Zool. 73, 1001–1004pp.[Link]
7.Frost, K. J., and L. F. Lowry. (1980). Feeding of ribbon seals (Phoca fasciata) in the Bering Sea in spring. Canadian Journal of Zoology 58:1601-1607pp.[Link]
8.”Antarctic Researcher Killed”. Science. https://www.science.org/content/article/antarctic-researcher-killed#:~:text=Kirsty%20Brown.,iceberg%20gouging%20on%20the%20seabed. 2025年2月17日閲覧.[Link]