ここで会えたひれあし類
以前は見れたが、今回は会えなかったひれあし類
2023年7月25日に日本で唯一飼育展示されていた、クラカケアザラシの「くらまる」が死亡しました。
クラカケアザラシの長期飼育はほとんど例がなく、そもそも保護してもすぐに死亡してしまうことが多いです。
そんなクラカケアザラシを、オトナになるまで育てたアクアマリンふくしまの技術力には本当に素晴らしいです。
今回は「くらまる」を偲びつつ、最近の展示を見るために訪問しました。
世界に誇る超水族館!
アクアマリンふくしまは福島県いわき市にある水族館で、規模、飼育技術、展示力の高さから世界に誇れる水族館です。
2018年には世界中の水族館スタッフが集まる「世界水族館会議」もアクアマリンふくしまで開催されました。
(世界水族館会議は1000人以上の業界の重鎮が集まって、これからの水族館について話し合う場です。)
地元の生き物をはじめ、飼育が困難な珍しい生き物を多く展示しています。
クラカケアザラシもそのひとつで、日本で見られるひれあし類の中で最も飼育が難しい種とされています。
保護しても1年以内に死亡することが多く、オトナになるまで成長した事例はほとんどありませんでした。
「くらまる」も2015年6月に北海道で保護され(当時推定0歳)、その年の11月よりアクアマリンふくしまで展示されていた個体です。
最短で「くらまる」がいた場所へ行く
アクアマリンふくしまは入口から本館までの間に、日本の生き物を紹介するエリアがあります。
その奥にはカワウソも展示されていて、ほとんどの人が足を止めていますが、そのエリアには入らず真っすぐ本館に行きましょう。
本館に入ると、「くらまる」を偲ぶ献花台が設置されていました(訪問したのは8月上旬)。
「くらまる」への感謝が胸の中に溢れさせつつ、「はっ!そういえばグッズはあるのか!?」と若干の焦りを抱きましたが、とりあえず進みます。
順路通りに「海・生命の進化」エリアに入ります。
超貴重なシーラカンスの標本とか、ハイギョとかサンショウウオがいますが、そこは見えないふりをしながらエスカレーターに乗ります。
エスカレーターを上がると「ふくしまの川と沿岸」という地元の生き物を展示しているエリアに入ります。
さすがアクアマリンふくしま、開館直後に入っても完璧に掃除が完了していて全く汚れていません。
美しい日本の河川をはじめ、汽水域や海岸を環境ごと再現した素晴らしい水槽がずらっと並んでいますが、流れる川のごとく足早に通り抜けましょう。
その先がひれあし類の展示エリアです!
「くらまる」がいなくても素晴らしい展示
「北の海の海獣・海鳥」エリアには日本の北部で見られるひれあし類(ゴマフアザラシ、トド)と海鳥を展示しています。
「くらまる」は向かって一番左のゴマフアザラシ水槽で暮らしていました。
クラカケアザラシは暑さに弱いので、いつも冬季のみの展示でした。
今年の展示も5月14日で終了し、涼しいバックヤードで暮らしていたそうです。
以前バックヤードツアーに参加したことがありますが、ゴマフアザラシとは餌量や薬の量が全く違っていて、飼育の難しさを垣間見ることができました。
冬季に水族館へ行っても「くらまる」は陸場にいることが多かったです。
(精神も繊細なのか、ゴマフアザラシを避けているようでした。)
水槽の陸場は高い位置にあるので、以前は見るのも難しかったです。
ですがさすがアクアマリンふくしま、2021年の訪問時には陸場の観察窓が設置されていました。
(こんな分厚いコンクリに、あとから穴開けて窓を付けるのはお金も手間もかかったでしょう…)
いやいや本当に観察しやすかったです、せっかくの観察窓を私の顔で埋めてしまいそうなぐらいじっくり見ることができました。
現在ではこの水槽ではゴマフアザラシのみを見ることができます。
アクアマリンふくしまでは、ゴマフアザラシの繁殖がうまくいっていて、2021年生まれの個体も暮らしていました。
トドがきれいなんですよ
個人的にはアクアマリンふくしまのトドの展示が凄い好きです。
なんでかって、この迫力がたまらないからです!
「北の海の海獣・海鳥」エリアは自然光が入ってくるのと(良いことなんですが)水量が多くて、写真を撮るのがちょっと難しいです。
ですが、トドは比較的簡単に撮影できます。大きいですしね。
立派ですねー!
8月上旬に訪問した際には、公式グッズのモデルにもなっているオスの「イチロー」はいませんでした。
残念ながら訪問直後に「イチロー」とメスのトド「フク」が高齢で死亡したと公表されました。
立派なトドだったのでとても残念ですが、アクアマリンふくしまのトドの血筋もしっかりと他園館に受け継がれてます。
過去に紹介した「人の言葉が分かるトド」こと、城崎マリンワールドの「ハマ」は、「イチロー」と「フク」の子になります。
城崎マリンワールドには実はまだ訪問できてないので、また次の機会にしっかり紹介したいと思います。
キタオットセイにも会いに行きましょう
個人的に一番思い入れがあるひれあし類がキタオットセイなのですが、アクアマリンふくしまでも見ることができます(見れるのは国内で4か所のみ)。
キタオットセイは「子ども体験館 アクアマリンえっぐ」という離れた建物にいます。
キッズエリアかな?と思うでしょう、いやいや全然がっつり大人も楽しめますので、恐れず入ってくださいね!
秘蔵っ子だからなのか、あまり全面には見えない独特の水槽にキタオットセイはいます。
ほとんどの人が気付かないので、ちょっと悲しくもありつつも、ゆっくり観察させていただきました。
ここにはオスとメスのキタオットセイがいて、水中を優雅に泳ぐ姿を見ることができます。
ただ、理由はわからないのですが、なぜかオットセイプールの水がかなり濁っていました。
夏場だから藻が湧いているのか、大掃除前だからなのか、、、汗?
ひれあし類は魚ほど水質には厳しくはないので、問題ないと思います。
時間が足りなくて給餌を見ることができなかったのが心残りですが、それは次の機会にします。
グッズが過去最高に熱かった!
ひれあし類の展示も見たので、とりあえずグッズを見に行きます。
ショップは本館1階と入口にあります。
今回購入したものがこちらです!
まずは「くらまる」Tシャツ。
なぜかTシャツの素材がサイズによって違いました。
MとLはさらさらしたポリエステル製、Sだけ綿製でした。
スタッフさんに聞いたところ、サイズで製造会社が違っていて、今後はSサイズも他と同じ素材にするそうです(ということはこれからも作る?)。
ユニセックスだから、Sサイズのほうがいいかなーと思ったのですが夏場に着にくいには嫌なので、Mサイズを購入。
実際着てみたら160cmの私でもちょうどよかったです、水族館だとしゃがんだりするので若干丈長の方が使いやすいですね。
次は「くらまる」と「イチロー」の体毛入りキーホルダー。
たくさんあったので、まとめて購入させていただきました。
クラカケアザラシとトドの体毛ですよ!正直に言うと、キーホルダーというより中身が欲しい…。
ぎっしり瓶詰めされたものがあれば、10,000円でも買いたい(笑)
それぐらい貴重な標本をグッズ化してくれるのは本当にありがたいですね。
個体ごとに集めるのは結構大変ですからね…
最後は、悶絶!キタオットセイエコバッグ!
衝撃でした、まさかキタオットセイのグッズを作ってくれたなんて。
現在キタオットセイを展示している施設では、アクアマリンふくしまが一番最後なんですが、キタオットセイのグッズはここが初めてですね!
「アシカ」とか「オットセイ」って書いてあるグッズはたくさんありますが、これは完全にキタオットセイです。
ありがとう!アクアマリンふくしま!ありがとう!
売り場で思わず拍手しながら、購入させていただきました。
「くらまる」グッズもタオルやカップなどいろいろあったので、ぜひチェックしてみてください。
一部のグッズは通信販売も行っているようです。
他の展示も見に行きます
お土産も先にゲットして一安心なので、改めて展示を見に行きました。
最初のカワウソの展示は素晴らしい作り込みでした。
「潮目の海」大水槽はいつ見ても美しい展示で、今回は立派なイワシが目を引きました。
前回の訪問から海洋プラスチックごみの展示が増えてました。
海洋プラスチックで傷付いたキタオットセイの紹介もありました。
変な形の魚「ギンカガミ」、ようやくきれいな写真を撮ることができました。
「子ども体験館 アクアマリンえっぐ」に続く本館通路には、トドのはく製もありました!
いかがだったでしょうか?
「くらまる」の死亡をもって、国内でのクラカケアザラシの飼育は現在行われていません。
非常に残念なことではありますが、今回の「くらまる」の飼育記録はこれからのクラカケアザラシやひれあし類全体の飼育展示技術に活かされていくことでしょう。