作成日:2023/11/07 更新日:2025/4/21

英名South american sea lion/otaria
学名Otaria byronia
分類アシカ科
オタリア属
分布南米
大きさオス:230cm, 300kg
メス:180cm, 144kg

オタリアとは?

オタリアはアシカの仲間で、その大きな体やたてがみが特徴です。まさに「Sea lion (海のライオン)」にふさわしい姿をしています。

オタリアのオス。大きな頭と長い首のたてがみが特徴。
オタリアのメス。他のアシカより鼻づらが平ら。オスのようなたてがみはない。

日本の水族館でも見ることができ、たびたびアシカショーでコミカルな動きを見せてくれます。

竹島水族館で展示されているオタリアのメス。キビキビとした動きで種目を披露していた。

可愛らしい一面もありますが、野生下ではペンギンやオットセイまでも捕食するなど非常に逞しい生きざまをしています。

分布・回遊

オタリアは南アメリカの太平洋と大西洋の両方の沿岸に生息しています。
太平洋側はペルー中部以南、大西洋側はウルグアイ以南に分布しています。(2)

オタリアの分布。Cárdenas-Alayza(2018)を参考に作成。


他のアシカのような大規模な回遊はしませんが、非繁殖期になると繁殖地から離れた海域も利用するようになります。(3)

オタリアの詳細な分布。明確な回遊はしないが、季節で利用する範囲が変化する。


エサ

オタリアは主にタコやイカなどの頭足類や、イワシなどの小魚を捕食します。
また環境の変化に対応するように、季節や場所によって利用する魚種を変えています。(4)(5)

オタリアは頭足類を積極的に摂餌する。写真はミズダコ。


他にもキタイワトビペンギンやニュージーランドオットセイを捕食する事例も報告されています。(6)(7)

頻繁ではないが、若いオタリアを中心にキタイワトビペンギンを捕食する事例が報告されている。
なんと同じひれあし類を捕食することも。写真はニュージーランドオットセイ。


人との関わり

先住民によって狩猟されていましたが、16世紀に入ってヨーロッパ人による乱獲が起こりました。
現在ではオタリアの狩猟は禁止されており、その個体数は回復しています。
しかし、一部の地域では漁業による混獲やエサの減少によって、個体数の回復が遅れています。(3)

オタリアに会える動物園・水族館

〇北海道
釧路市動物園
おたる水族館

〇東北
仙台うみの杜水族館

〇関東
江戸川区自然動物公園
サンシャイン水族館
しながわ水族館
横浜・八景島シーパラダイス
新江ノ島水族館

〇東海
竹島水族館
鳥羽水族館

〇中国
姫路市立動物園
城崎マリンワールド
みやじマリン宮島水族館
新屋島水族館

〇九州
マリンワールド海の中道
海響館
熊本市動植物園 (追記 2025/1/31に最後の1頭が死亡し展示終了)

参考文献

1.King, J. E. 1983. Seals of the World.(Second Edition) Cornell University Press, Ithaca, New York. 240 pp.
2.Cárdenas-Alayza, S. 2018. South American sea lion: Otaria byronia.  Encyclopedia of marine mammals. pp. 907-910. Academic Press.https://doi.org/10.1016/B978-0-12-804327-1.00238-7
3.Roasas, F. C., Pinedo, M. C., Marmonntel, M., & Haimovici, M. 1994. Seasonal movements of the South American sea lion (Otaria flavescens, Shaw) off the Rio Grande do Sul coast, Brazil. Jpurnal Mammalia, 58(1), pp.51-60.https://doi.org/10.1515/mamm.1994.58.1.51
4.Bustos, R. L., Daneri, G. A., Volpedo, A. V., Harrington, A., & Varela, E. A. 2014. Diet of the South American sea lion Otaria flavescens during the summer season at Río Negro, Patagonia, Argentina. Aquatic Biology, 20(3), 235-243.https://doi.org/10.3354/ab00557
5.Koen Alonso, M., Crespo, E. A., Pedraza, S. N., Garcia, N. A., & Coscarella, M. A. 2000. Food habits of the South American sea lion, Otaria flavescens, off Patagonia, Argentina.
6.Raya Rey, A., Sáenz Samaniego, R., & Petracci, P. F. 2012. New records of South American sea lion Otaria flavescens predation on southern rockhopper penguins Eudyptes chrysocome at Staten Island, Argentina. Polar biology, 35, pp.319-322.
7.Harcourt R. 1993. Individual varriation in predation on fur seals by southern sea lions. Canadian Journal of Zoology, 71(9), pp.1908-1911.