作成日:2023/11/07 更新日:2026/08/26

| 英名 | South american sea lion/otaria |
| 学名 | Otaria byronia |
| 分類 | アシカ科 オタリア属 |
| 分布 | 南米 |
| 大きさ | オス:230cm, 300kg メス:180cm, 144kg |
オタリアとは?
オタリアはアシカ科の仲間です。
日本の水族館で「アシカショー」に登場することもありますが、実は「アシカ」というのは1種類の動物の名前ではありません。
アシカの仲間は全部で15種類もいて、オタリアもそのうちの一種なのです。
国内では約10カ所の飼育施設でしか見ることができない比較的珍しい種類です。
この記事では現役飼育員のももこんちょが、オタリアの特徴、分布、食性、日本で出会える場所などを紹介します。
オタリアの特徴
オタリアはその大きな体やたてがみが特徴です。まさに「Sea lion (海のライオン)」にふさわしい姿をしています。
オトナになったオスは体重が300kgほどになり、首にはたてがみが伸びてきます。


それと現役飼育員の感覚では、アシカの中でも好奇心旺盛な性格をしている印象です。
国内の施設でも、たびたびアシカショーに登場して活躍している種類です。
国内の飼育施設で出会えるアシカの紹介はこちら↓

また同じく体の大きなトドと間違われることもある種類です。
トドとオタリアの違いはこちらで詳しく紹介しています↓
可愛らしい一面もありますが、野生下ではペンギンやオットセイまでも捕食するなど非常に逞しい生きざまをしています。
名前の由来
「オタリア」というのは学名(研究者がつける、世界共通で使うその種の名前)の「Otaria」がそのまま和名(日本で呼ぶ一般な名前)になっています。
他のアシカの名前は、ほとんどがどこに生息しているかが由来になっていて、例えばカリフォルニアアシカは名前の通りアメリカのカリフォルニア州に多く生息しています。
英語でも「California sea lion」と書くので、そのままでとても分かりやすくなっています。

オタリアも英語では「South american sea lion(ミナミアメリカアシカ)」と書くので、そのまま呼べば分かりやすかったのに、、、と個人的にも思っています。
学名の方が先に国内に定着してしまったので、今でもオタリアと呼ばれています。
生息地
オタリアは南アメリカの太平洋と大西洋の両方の沿岸に生息しています。
太平洋側はペルー中部以南、大西洋側はウルグアイ以南に分布しています。(2)

他のアシカのような大規模な回遊はしませんが、非繁殖期になると繁殖地から離れた海域も利用するようになります。(3)

繁殖・子育て
オタリアは年に1回、夏に繁殖をします。(4)
日本の飼育施設では7~8月に出産することが多いですが、南半球では季節が逆なので、12月~2月に出産をします。
基本的には1回に1頭しか出産しませんが、2025年には北海道の釧路動物園で双子の赤ちゃんが誕生し、2頭とも離乳するまで成長しています。
オスは海岸でハーレムという縄張りを形成し、数頭~十数頭のメスを囲い込みます。(5)
ハーレムを持てるのは強いオスだけなので、オス同士は繁殖期はエサも食べずに縄張り争いを繰り返します。
メスの子育てはいわゆるワンオペで、オスが子育てを手伝うことはありません。
哺乳期間は6~24カ月で、個体によってばらつきがあります。(6)
中には生まれたての赤ちゃんと、去年生まれの自分の子2頭にミルクを飲ませている個体も確認されています。
エサ
オタリアは主にタコやイカなどの頭足類や、イワシなどの小魚を捕食します。
また環境の変化に対応するように、季節や場所によって利用する魚種を変えています。(7)(8)

他にもキタイワトビペンギンやニュージーランドオットセイを捕食する事例も報告されています。(9)(10)


人との関わり
先住民によって狩猟されていましたが、16世紀に入ってヨーロッパ人による乱獲が起こりました。
現在ではオタリアの狩猟は禁止されており、その個体数は回復しています。
しかし、一部の地域では漁業による混獲やエサの減少によって、個体数の回復が遅れています。(3)
オタリアは日本で会える?
野生のオタリアを国内で見ることはできないため、出会うなら飼育施設だけになります。
全国10カ所以上の施設で飼育されていますが、中にはアシカショー以外の時間はバックヤードにいて見れない、ということもあります。
また飼育頭数もそこまで多くなく、海外から新しい個体が来るのも難しいためぜひ今のうちに会いに行ってほしい種類です!
どうしてひれあし類の数は減っているの?詳しくはこちら⇓
オタリアに会える動物園・水族館
〇北海道
釧路市動物園
おたる水族館
〇東北
仙台うみの杜水族館
〇関東
江戸川区自然動物公園
サンシャイン水族館
しながわ水族館
横浜・八景島シーパラダイス
新江ノ島水族館
〇東海
竹島水族館
鳥羽水族館
〇中国
姫路市立動物園
城崎マリンワールド
みやじマリン宮島水族館
新屋島水族館
海響館
〇九州
マリンワールド海の中道
熊本市動植物園 (追記 2025/1/31に最後の1頭が死亡し展示終了)
参考文献
1.King, J. E. 1983. Seals of the World.(Second Edition) Cornell University Press, Ithaca, New York. 240 pp.
2.Cárdenas-Alayza, S. 2018. South American sea lion: Otaria byronia. Encyclopedia of marine mammals. pp. 907-910. Academic Press.https://doi.org/10.1016/B978-0-12-804327-1.00238-7
3.Roasas, F. C., Pinedo, M. C., Marmonntel, M., & Haimovici, M. 1994. Seasonal movements of the South American sea lion (Otaria flavescens, Shaw) off the Rio Grande do Sul coast, Brazil. Jpurnal Mammalia, 58(1), pp.51-60.https://doi.org/10.1515/mamm.1994.58.1.51
4.Campagna, C. (1985), THE BREEDING CYCLE OF THE SOUTHERN SEA LION, OTARIA BYRONIA. Marine Mammal Science, 1: 210-218. https://doi.org/10.1111/j.1748-7692.1985.tb00010.x
5.Campagna, C., & Le Boeuf, B. J. (1988). Reproductive Behaviour of Southern Sea Lions. Behaviour, 104(3/4), 233–261. http://www.jstor.org/stable/4534669
6.Sepúlveda, M., & Harcourt, R. G. (2021). Maternal behavior in otariids and the walrus. Ethology and behavioral ecology of otariids and the odobenid, 51-61.
7.Bustos, R. L., Daneri, G. A., Volpedo, A. V., Harrington, A., & Varela, E. A. 2014. Diet of the South American sea lion Otaria flavescens during the summer season at Río Negro, Patagonia, Argentina. Aquatic Biology, 20(3), 235-243.https://doi.org/10.3354/ab00557
8.Koen Alonso, M., Crespo, E. A., Pedraza, S. N., Garcia, N. A., & Coscarella, M. A. 2000. Food habits of the South American sea lion, Otaria flavescens, off Patagonia, Argentina.
9.Raya Rey, A., Sáenz Samaniego, R., & Petracci, P. F. 2012. New records of South American sea lion Otaria flavescens predation on southern rockhopper penguins Eudyptes chrysocome at Staten Island, Argentina. Polar biology, 35, pp.319-322.
10.Harcourt R. 1993. Individual varriation in predation on fur seals by southern sea lions. Canadian Journal of Zoology, 71(9), pp.1908-1911.



