京都大学野生動物研究センターが行っているクラウドファンディングはご覧になりましたか?


これは北海道の知床・釧路のシャチ調査を拡充するためのプロジェクトで、既に200万円以上(1/20時点)も寄付が集まっています。

シャチは日本各地で目撃例がありますが、その中でも北海道東部(知床など)では300頭以上が生息しているそうです。

道東ではシャチクルーズも行われている。
道東ではシャチクルーズも行われている。

2011年からは東海大学,常磐大学,三重大学,京都大学,北海道大学が中心となって「北海道シャチ研究大学連合(Uni-HORP)」が立ち上がり、各大学の得意分野からシャチの生態について調べています。

わかってきたことの一つとして、北海道で見られるシャチには哺乳類を食べるタイプと魚類を食べるタイプがいることが明らかになっています。

シャチの群れの近くにいたミンククジラ。彼らの餌なのだろうか、、、。
シャチの群れの近くにいたミンククジラ。彼らの餌なのだろうか、、、。

海棲哺乳類を食べるタイプでは、過去には胃の中から大量のアザラシの爪が出てきたそうです(つまりそれぐらい食べている)。みなさんご存知の通り、アザラシの多くの種は流氷に乗って住む場所を変えたり、子育てをしています。餌も流氷から海に溶け出した栄養素で育った魚を利用しています。つまりアザラシはその海の状態を色濃く映し出す鏡のような存在です。そんなひれあし類を利用するシャチもまた海の環境を大きく反映する生き物なのです。

シャチの餌にもなるクラカケアザラシ。自然界では流氷に乗って生活している。
シャチの餌にもなるクラカケアザラシ。自然界では流氷に乗って生活している。

私は海でひれあし類を見る機会が多いのですが、海でひれあし類を見るのは本っっっ当に大変です。寒いし、雨や雪で見えないし、やっと見えても遠くて何してるかわからないし、、、何より潜ってしまってはどうしようもありません。

キタオットセイの群れ。天候に恵まれればゆっくり観察することができる。
キタオットセイの群れ。天候に恵まれればゆっくり観察することができる。
実際はこんな感じに見えることがほとんど。調査どころではなくなってしまう、、、。
実際はこんな感じに見えることがほとんど。調査どころではなくなってしまう、、、。

以前ひれあし類を探しているときにシャチを見たこともあります。あんなに大きな体をしていても、何度も潜ってしまうと数を数えるのもやっとのこと。結局まともな写真が撮れませんでした。

立派な背びれから、かろうじてシャチだとわかる。
立派な背びれから、かろうじてシャチだとわかる。

近くで見てみたいと思い、知床半島の羅臼町で行われているシャチクルーズにも乗ってみたこともあります。10万以上かけて飛行機とレンタカーを乗り継ぎ、やっとこさ船に乗ったのに悪天候で何も見れませんでした、、、。

知床沖から見た歯舞群島の一部。本当ならここでシャチが見れるはずだった。
知床沖から見た歯舞群島の一部。本当ならここでシャチが見れるはずだった。

それぐらい海棲哺乳類を見るのは大変なのです。

最近ではシャチが漁網から魚を盗む「漁業被害」も確認されているそうですが、その詳細はまだわかっていません。トドやゼニガタアザラシなど、ひれあし類の一部の種類でも漁業被害対策の一環として網を強化したり、駆除も行われています。

ですが、シャチは群れによって生態が違うのであれば、その群れや海域ごとで調査をしなければいけません。それはどの群れがやっているのか?どれぐらいの頻度で起こっているのか?これらを調べるためにはどうしても人手や労力、資金が必要になります。今回のクラウドファンディングは新しく調査範囲を拡充するための資金になります。私も少しばかりですが寄付をしましたが、今回のプロジェクトを通じて、シャチや同じ海に生きる生き物たちがこれからも身近な存在であり続けてくれればいいなと思っています。

シャチは捕鯨時代に乱獲され、数が減ってしまったこともある。これからもシャチとともに生きられるよう、彼らの生態を知っていく必要がある。
シャチは捕鯨時代に乱獲され、数が減ってしまったこともある。これからもシャチとともに生きられるよう、彼らの生態を知っていく必要がある。

5000円の「応援コース」もありますし、10000円で各地のコンブやシャチの鳴き声データがもらえる「釧路コース」・「羅臼コース」などさまざまなコースがあるので、ぜひ一度ご覧になってはいかがでしょうか?
このクラウドファンディングは1/31の午後11時までとなっていますので、お忘れなく!