アザラシ、アシカ、セイウチの情報を紹介

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【鴨川シーワールド】
~世界でも超貴重なセイウチの全身骨格~

ここで会えたひれあし類

以前は見れたが、今回は会えなかったひれあし類

だいぶ前になってしいましたが、3月に千葉県・鴨川シーワールドに行ってきました。

鴨川シーワールド入口。大きなシャチのモニュメントが目立つ。

ここ数年行ってなかったので、改めて展示を見たかったのと、例の「アレ」が展示されたということで、行ってきました!
現在とは一部展示が変わっている部分もありますが、さっそく紹介していきましょう!

最短でロッキーワールドに行く

鴨川シーワールドの入り口は一つしかなく、かつ、ひれあし類がいるロッキワールドは一番奥にあります。
最短で行くには、最初の魚類エリア「エコアクアローム」には入らず、建物の左側にある外の通路を通ります。

魚類エリアも魅力的だが、出るまで時間がかかるので今はスルー。

その奥には巨大なイルカプールやシャチプールが待ち受けています。

シャチやイルカがいるエリアに吸い込まれると、長居しそうなので今はスキップ。

全国で唯一行われているシャチパフォーマンスの誘惑を振り切って、スタジアム右側の通路をひたすら進みます。

そこはひれあしパラダイス!

ここまでのすべての誘惑に打ち勝つと、そこにはひれあしパラダイスが!
以前はアシカやアザラシがいた「カリフォルニアの海」には、セイウチがいました。

セイウチ。元のプールより広い場所でゆったりと泳いでいた。
以前は陸場も擬岩で覆われてが平らになっていた。プールの作りはすっきりして見やすい。

2019年までは立派なオスのセイウチ「タック」がいましたが、残念ながら死亡してしまいました。
現在では「タック」の子供たち、そしておたる水族館生まれのメス個体が暮らしています。

後ろにいるのが在りし日の「タック」。大きな体と牙が印象的だった。

セイウチは全国的に繁殖の実績が少ないです。
(全国で約20頭いますが、出産は年1頭ほど。他のひれあし類と違い毎年繁殖しないのも理由の一つ)
最近は全国の施設同士で頻繁に交換して血統更新を目指す流れになっているようですね。

鴨川シーワールドは日本で初めてセイウチの繁殖に成功した。
鴨川シーワールドでは過去にセイウチの人工哺育をした事例もある。

あんなに大きな生き物を移動させるだけでも本当に大変だと思います。
全国の飼育施設やスタッフさんの努力あってこそのなので、これからもセイウチが見られることを応援していきます。

以前トドがいた「千島の海」にはカリフォルニアアシカとゴマフアザラシ、ゼニガタアザラシ、ワモンアザラシがいました。

カリフォルニアアシカ。オスのコブが目立ってかっこいい。
ゼニガタアザラシ(出っ歯で可愛かった!)
ワモンアザラシ。つぶらな瞳がキュートです。

ちょうど落水清掃(プールの水を全部抜く)の日に当たったようで、スタッフさんがプール内を磨いていました。
屋外&この頭数がいるプールの掃除は大変そうですねー!

ワモンアザラシは全国でも飼育個体が少ないし、屋外で見れる場所のも頬ありません。
鴨川でも冬季しか屋外にはいないので、超貴重です!
といっても見た目はほぼゴマフ、見分けるのはちょっと難しいですね。

右奥にいるアザラシがワモンアザラシ。ちょっと肩身が狭そうに端に寄っていた。

どうやらロッキワールドは少しずつ改修工事をしているようで、各動物の展示エリアが移動&トドは展示休止になっていました。

順番に工事をしているので、一部の展示や解説を休止していた。

鴨川シーワールドのトドは本当に大きくてかっこいいから会えないのは残念、、、。

この大きさ、目力はたまりません。手元給餌しているもの凄い!

工事後のきれいなプールでまた会いましょー!
ということで、そろそろアシカパフォーマンスなのでスタジアムに向かいます。

コミカルなアシカパフォーマンス

鴨川シーワールドのアシカパフォーマンスは、数頭のアシカファミリーによるコミカルな内容になっています。
鴨川シーワールドはパフォーマンスの内容はあまり変えないスタンスなので、どの回を見ても同じシナリオを見ることができます。

パフォーマンスプール。シャチパフォーマンス後に一気に混んでくる。

とある休日のアシカファミリーの様子を描いたもので、まるで劇団のショーを見ているかのようです。

2人のトレーナーが4頭のアシカに指示を出す。個体の入れ替えがスマートなのはさすが。

トレーナーとアシカのリズムの良い掛け合い、アシカ同士の会話もあります。
もちろん全てトレーナーがその場でしゃべっています(笑)
始めてパフォーマンスを見たときは、「おおぅ、擬人化では?汗」と思うほど。
思いっきり全部喋っているので、これは鴨川流演技だということで、今ではしっくり来てます。

それぞれ「父」「母」「兄」「妹」といった役柄がある。
顔を洗って目を覚ましている(?)アシカ。コミカルな動きはアシカらしい。

最後は笑顔を拍手で終わること間違いなしです!

ポーラーアドベンチャーにもひれあし類

アシカパフォーマンスプールの観覧席の横に水中観覧エリアへの入口があります。
見落としやすいので注意してくださいね。

水中観覧エリアには、北極海と南極海を再現したエリア「ポーラーアドベンチャー」があります。
ここではワモンアザラシとアゴヒゲアザラシを見ることができました!

ワモンアザラシはゴマフアザラシより体も頭も小さいのが特徴。

アゴヒゲアザラシをこの距離で水中観覧で見れるのは、全く予想していませんでした。

アゴヒゲアザラシの特徴である、長くてたくさん生えているヒゲ。ちなみに顎から生えているわけではない。

アゴヒゲアザラシも飼育園館が少なく、有名なおたる水族館でもアゴヒゲアザラシの水中観覧はできません。

アゴヒゲアザラシとワモンアザラシの同居は珍しい。

日本周辺で見れるアザラシでは最大サイズの種になります。

ワモンアザラシはオスとメス両方いました。
屋外のプールからだと背中しか見れないので、この展示はいいですね。

オスのワモンアザラシは繁殖期になると独特の顔立ちになり、ガソリン臭を出す。


オスは繁殖期が近いので、顔がしわくちゃになっていました。

ワモンアザラシって、ゴマフアザラシよりも小っちゃくて丸くて可愛いのですが、この時期のオスだけは、「えっっっっっ!」ってなります。

ちなみにアゴヒゲアザラシはこのポーズのままほとんど動きませんでした。
アゴヒゲアザラシの特徴的な前肢はゆっくりと見ることができた。

過去には日本でここだけ、カスピカイアザラシの展示も

2023年3月時点では展示されていませんでしたが、過去にはポーラーアドベンチャーでカスピカイアザラシを見ることができました。

カスピカイアザラシ。ワモンアザラシとゴマフアザラシを合わせたような外見。

カスピカイアザラシは世界最大の湖であるカスピ海に生息しています。
野生下では個体数が減少しており、絶滅危惧種に指定されています。

以前行ったときには、求愛行動も見ることができた。

日本では鴨川シーワールドでしか見ることができないので、ぜひまた展示されることを期待しています。

世界でも数体!オスのセイウチの全身骨格!

とうとう例の「アレ」と対面する時がやってきました、、、!
ポーラーアドベンチャーには標本や解説パネルが展示されています。
なんと!ここには!超希少な!セイウチの!全身骨格が!あります!!!!

鴨川シーワールドの展示を長きにわたり支えてくれた、オスのセイウチの全身骨格。

この標本は1983年~2019年まで鴨川シーワールドで飼育展示されていたオスのセイウチ「タック」のものです。
世界中でセイウチの全身骨格はありますが、ほとんどがメスやコドモなど小さい個体だそうです。
オスで全てのパーツが揃っている標本は世界でも数体しかないらしい。
これは絶対に見てほしい!

見てくださいこのキバの長さ!

本当に立派なキバ。こうしてみると、骨とは別の組織であることが分かる。

そしてここも見てほしい、、、

そう、「陰茎骨」!!!!
この長さ、太さ、形、本当に神秘です。

世界で最も長い陰茎骨を持っているセイウチ。60センチにもなる個体もいるらしい。

見どころが多すぎる水族館です

ひれあし類だけでも十分満足できますが、鴨川シーワールドにはまだまだ見どころがたくさんあります!

なんやかんや毎回見てしまうシャチパフォーマンス。
やっぱりこの大きさ、美しさには圧倒されます。

シャチとトレーナーとの関係性が伝わってくるパフォーマンスは何度見ても飽きない。

ひれあし類の天敵なんですが、ついつい魅入ってしまいます。


個人的には、最初の魚類展示エリア「エコアクアローム」も好き。
できたのは1996年と約30年も前なのに、展示のストーリー性とか、最初にちょっと地味目は生き物を見せるという大胆さも好き。

最初の方の展示はフタも仕切りガラスもない開放的な展示。
浅瀬に生息するイカが展示されていた。
希少な水棲昆虫の展示もあった。大きな水族館でも地元の自然展示も力を入れている印象。
熱帯域の魚を展示している建物もある。こんなにも「ニ●」を見れる水族館も珍しい?

いかがだったでしょうか?
シャチが人気な水族館ですが、実はひれあし類の聖地、ぜったいにひれあ好きには行ってほしい場所です。

また鴨川シーワールドはオーストラリアアシカやバイカルアザラシの飼育実績もあるので、これからも色んな挑戦をして欲しいですね。

鴨川シーワールドは一日中いられる水族館なので、帰りのバスの時間にはお気をつけて!

動画もご覧ください!

カリフォルニア州・モントレーに暮らすゼニガタアザラシ

カリフォルニア州・モントレー市は西海岸でも特に人気の観光地なんです。
町中で野生のアザラシやアシカに会うこともできるので、今回は市街地の紹介をしていきますよ!

サンフランシスコ国際空港からバスで移動します

日本からモントレーに行くには、サンフランシスコ国際空港からバスで行くのがおすすめです。
(モントレーにも空港はありますが、日本からの直通便がありません。)
サンフランシスコ国際空港ならサンフランシスコ市街地にもすぐ行けるので、そちらを観光するにも便利だと思います。

のんびり景色を眺めながら向かおう。

バスは「モントレーシャトル」がおすすめで、事前にウェブサイトから予約・支払いしておくと安心だと思います。
シャトルの予約については、「地球の歩き方 web」さんが公開している「モントレーシャトル(Monterey Shuttle)」のページがとても参考になりました。

空港からモントレー市街へは2時間半ほどで到着します。

歩いて探索する

今回の訪問では朝一番にモントレー入りしたので、まずは朝ごはんです!
せっかくなら海が見えるところで食べたい、、、。
海岸沿いを歩いているとホテルに併設されたカフェを見つけたので、入ってみました。

海岸沿いは遊歩道になっていて、歩きやすい。
歩いているときに偶然出会ったお店に入るのも、旅行の楽しみ。

オーシャンビューのテラスでいただくコーヒーとパンがとにかくおいしくて、、、
景色も「最高」としか言いようがありません。
海に何か見えるので、朝ごはんを終えたら海岸に降りて観察します。

世界一美味しい朝ごはんだった。

ゼニガタアザラシ、アシカ、ラッコ、ペリカンに遭遇!

海岸にはジャイアントケルプが流れ着いていました。
この巨大な海藻が豊かな海を支えています。

美しい眺め。天気も最高だった。

そして海を見てみると、、、
なんと野生のラッコでした!

一瞬海藻に絡まったゴミに見えた。何か持っている?

海藻に巻き付いて休みつつ、エサを食べていました。
遠くて写真ではよくわからないですね。

恐らくカニを食べている。

写真は撮れませんでしたが、カリフォルニアアシカが魚を捕まえているのも見ることができました。

画面中央はラッコ、その奥に顔だけ出しているのがカリフォルニアアシカ。
日本では想像できないが、ここではペリカンも普通に見ることができる。

できれば双眼鏡を持参するのがいいと思います。
モントレーベイ水族館内のデッキでは、解説員が双眼鏡を貸してくれるのでそこで観察するのがいいと思います。

モントレーベイ水族館のデッキ。ここからでも野生動物を見ることができる。

運が良ければ目の前に生き物が来ることがあります。

今回の訪問ではなんとゼニガタアザラシが目の前の岩場で休んでいました。

歩いていけるぐらいの距離にアザラシがいた。

ゼニガタアザラシの英名はHarbor seal(港のアザラシ)です。
日本だと全然港にはいないのですが、こちらではヨットが停泊する港にたくさんいます。

目の前の海にはたくさんの船が停泊している。ここでは人の暮らしとアザラシが共存している。
海岸沿いの遊歩道には、ここで見られる野生動物の解説パネルもある。

日本のアザラシとは模様が違う

そして注目なのが、体の模様です。
日本ではゼニガタ(銭形)アザラシの名前の通り、体に輪っかの模様がたくさんあります。

日本で見られるゼニガタアザラシ。黒色の体色に白い輪の模様がある。

ですが、海外のゼニガタアザラシは輪っかの模様じゃない個体の方が多いそうです。
どう見てもゴマフアザラシ、、、

モントレーに暮らす野生のゼニガタアザラシ。模様だけみればゴマフアザラシと変わらない。

モントレーにはゼニガタアザラシしかいませんが、もっと北の方にはゴマフアザラシもいます。
現地の人はちゃんと見分けられるのでしょうか?
日本人の私には自信がありません、、、。

どちらも野生のゼニガタアザラシ。ここには日本と同じ銭形模様の個体もいる。

他にも観光スポットがたくさん

今回は生き物の紹介がメインでしたが、モントレー市街地は建物が美しく歩いているだけでも十分楽しめます。

会社の建物もおしゃれな街の雰囲気を作っている。
とにかく眺めがいいので、海を見ながらのんびりするのもいい。
ホエールウォッチングもおすすめ。運が良ければ陸からも見れるらしい。

シーフードが有名なので、市場を巡ったりお店で食べてみてもいいですね。

カキやカニが特に美味しかった。

今までの投稿ではアメリカの西海岸で出会ったひれあし類の紹介をしてきましたが、これが最後の投稿です。
1週間ほどアメリカに滞在して、カリフォルニアアシカ、ゼニガタアザラシ、キタゾウアザラシに出会うことができました。
また絶対に行って、みなさんにも紹介できればと思っています。
最後までご覧いただきありがとうございました!

アニョヌエボ州立公園のキタゾウアザラシ その②

前回はアニョヌエボ州立公園への行き方とツアーの前に出会ったキタゾウアザラシの紹介をしました。

今回は2020年1月に参加した有料のガイドツアーについて紹介していきますよ!

ツアーの集合場所に到着!

無料のエリアの海岸を離れて、ツアーの集合場所につきました。

ここはツアーのガイドさんの休憩所になっているそうです。
建物の前には骨格標本が展示されていました。

公園からの一本道を進むと集合場所があるので、迷うことはない。
アニョヌエボに生息する生き物の標本が並んでいた。早めに行って見ることをお勧めする。

ツアー客が集まるとまずはツアーの注意事項の説明がありました。
・アザラシから25フィート(約8m)離れること
・アザラシの近くで立ち止まったり、大声を出したりしないこと
・ガイドから離れないこと
・傘などの使用禁止
などいくつかありました。

ここからはのんびり立ち止まってカメラのセッティングなどはできないので、必ず準備しておきましょう。

海外なので(?)時間ぴったりには始まらない。のんびりとした気持ちで参加しよう。
説明は全て英語だが、2~3名のガイドが前後についてくれる。みんなの流れについていけば大丈夫。

海岸へ向かって歩きます

海岸に向かって歩いていきます。
道中に突然アザラシに遭遇することもあります。
縄張りを持てなかったオスは海岸を離れて砂丘の上まで来ることがあります。

ところどこと整備されているが、砂浜を歩くことも多い。転ばないように気を付けよう。
砂浜ではアザラシが休んでいる。驚かさないように進もう。

アザラシの亡骸もありました。
大きさからしてコドモでしょうか…。
海岸から離れた場所で朽ち果てていました。

ここが彼らの生きる場所で、そこに私たちが入っているのだと感じる。

海岸でアザラシの大群を観察しよう

海岸に到着しました!
海岸ではロープが張られているので安全な距離を保つことができます。
ここで数十分ほど留まってアザラシを観察します。

目の前に数えきれないほどのアザラシが集まっていた。鳴き声が響き渡る。

海岸線の近くではオスのアザラシが縄張り争いをしています。

ハーレムオスが周囲のメスに求愛していた。
メスは押しつぶされないように抵抗している。

その周辺ではメスが出産・子育てをしていました。
場所が足りないのか、メス同士で争っていることもありました。

生まれたばかりの赤ちゃんがミルクを飲んでいた。
赤ちゃんがオスに潰されて死んでしまうことも多い。メスも命がけで命を繋いでいた。

海岸線から離れたところでは静かに休んでいるアザラシがいました。

縄張り争いに参加していないオスは、離れたところで休んでいた。
死んだように眠っているが、時折動いて場所を変える。
時折可愛らしい表情を見せてくれる。

ガイドさんの説明は必聴

海岸での観察を終えるとまた砂浜を歩いていきます。
途中でガイドさんからアニョヌエボ州立公園やアザラシの生態について説明があります。

海岸線から離れて公園全体を見渡せるところに移動する。
道中にあるパネルを見ながらガイドさんが説明をしてくれる。
離れたところからでもアザラシがいるのがはっきりとわかる。

かつて絶滅の危機にあったが、保護活動のおかげで個体数が回復したこと。
しかし一度個体数が減ったアザラシは遺伝的に虚弱で、環境の変化に弱いことなどの説明がありました。
アザラシの生態についてはまだわかっていないことが多いため、現在も研究が進められているそうです。

アザラシの生活史について紹介している。全て英語だがパネルもあるので何となくわかる。
アニョヌエボでは体に印が入った個体がいる。これは各国の研究者による個体識別のためだそう。これからも生態解明に向けた研究が進むことを期待する。
解説中は換毛で抜けたアザラシの毛にも触れた。キタゾウアザラシは表皮ごと毛が抜ける。

この美しい景色と、たくましく生きるキタゾウアザラシにいつかまた会いに行きたいと思います。
ぜひ皆さんもキタゾウアザラシに会いに行ってはいかがでしょうか?

動画もあります

キタゾウアザラシの様子とツアーの紹介はYoutubeでもしているので是非ご覧ください!

アニョヌエボ州立公園のキタゾウアザラシ その①

広大な西海岸に集まるアザラシに会いに行こう!

今回紹介するのはカリフォルニア州にあるアニョヌエボ州立公園(Año Nuevo State Park)で見ることができるキタゾウアザラシです。

美しい景色と野生のキタゾウアザラシを見ることができる。
美しい景色と野生のキタゾウアザラシを見ることができる。

アニョヌエボ州立公園では換毛期と繁殖期になると何千頭ものキタゾウアザラシが集まります。
2トンを超える巨大なアザラシがひしめく様子は圧巻ですっ、、、!
ツアーに参加すると専門ガイドによる解説付きで、アザラシ達がいる海岸を歩くこともできますよ!
早速紹介していきましょう!

カリフォルニア州・アニョヌエボ州立公園

アニョヌエボ州立公園はサンフランシスコ市街地から車で南に1時間半の場所にあります。
残念ながらバスや電車などの公共交通機関はありません。

海沿いなので迷うことは少ないですが、日本とは走行車線やハンドルが逆なので運転自体に戸惑います。
大通りに面したレンタカーショップを事前に調べて、車を予約していくのをお勧めします。
また給油せずに返却できる(ガソリン満タン返し不要)のオプションもあるので、それも事前につけておくと安心です。

今回は出国前にネットで予約したレンタカーで向かった。運転する方は国際免許の発行も忘れずに。
今回は出国前にネットでレンタカーを予約した。運転する方は国際免許の発行も忘れずに。

大きな駐車場があるので、そこに車を停めます。
駐車場代は駐車時に支払ってレシートを車内の見える場所に貼っておきます。

駐車料金を支払った証明にレシートをガラスに貼っておくこと。
駐車料金を支払った証明にレシートをガラスに貼っておくこと。

まずはツアーの予約とキタゾウアザラシについて学ぼう

駐車場近くには海洋教育センター(Marine Education Center)があります。

駐車場の近くにある白い建物がMarine Education Centerなので、必ず立ち寄ろう。
駐車場の近くにある白い建物がMarine Education Centerなので、必ず立ち寄ろう。

まずここでキタゾウアザラシの観察ツアーの予約をします。
キタゾウアザラシが多く集まる12~3月は、保護区に入るのに有料ツアーに申し込まないといけません。
センター内で当日申し込みができますので、必ず申し込んでくださいね。
カリフォルニア州立公園の公式HPでは、55日前からネット上で予約もできますので、出発前に申し込んでおくのもおすすめです。

事前に申し込み、支払いをするとPDFでレシートが出てくる。印刷して持っていくと安心だ。
事前に申し込み、支払いをするとPDFでレシートが出てくる。印刷して持っていくと安心だ。

私たち(2人)が申し込んだのは15:00~のツアーで、所要時間は2時間半です。
ツアー代金は登録料を含めて10.99ドル/人(1400円ほど)です。
思ったより早く着いたので、カウンターにいるスタッフに相談したら13:30~のツアーに変更してもらえました。

ツアーの時間までに、まずはセンター内でキタゾウアザラシについて予習をしておきます。

建物の中はビジターセンターのような作りになっている。
建物の中はビジターセンターのような作りになっている。
キタゾウアザラシの頭骨。骨だけでもその大きさがうかがえる。
キタゾウアザラシの頭骨。骨だけでもその大きさがうかがえる。
キタゾウアザラシの生活史。1月はオスもメスも集まる繁殖期にあたる。
キタゾウアザラシの生活史。1月はオスもメスも集まる繁殖期にあたる。

公園内を毎日スタッフが見回りしているそうで、ホワイトボードには今日のアザラシの数や出産状況などが分かるようになっています。
私が訪問したのは2020年1月中旬でしたが、ちょうど繁殖と出産のピークで最高のタイミングでした。

オトナのオス・メス、赤ちゃん、最初の換毛をした赤ちゃんが全て見れるベストタイミングだった。
オトナのオス・メス、赤ちゃん、換毛後の赤ちゃんが全て見れるベストタイミングだった。

またお土産もセンターで購入することができます。
アニョヌエボ州立公園オリジナルグッズがたくさんありますので必ずチェックしてくださいね。
ツアーの後だとお店が閉まってしまいますので要注意!

お土産コーナーでラッコの毛皮を展示していた。もちろん非売品。
お土産コーナーでラッコの毛皮を展示していた。もちろん非売品。

無料のエリアでもアザラシが見れる

センターからツアーの集合場所までは徒歩20分ほどかかります。
かなり時間に余裕があるのではまずは道中の無料で入れる海岸を探索します。

海岸までの道は平坦で歩きやすい。事前に申し込めば車イスの人もガイド付きツアーに参加できるらしい。
海岸までの道は平坦で歩きやすい。事前に申し込めば車イスの人もガイド付きツアーに参加できるらしい。
海にはアニョヌエボ島が見える。現在は無人島になっており、アザラシやアシカ達の楽園になっている。
海にはアニョヌエボ島が見える。現在は無人島になっており、アザラシやアシカ達の楽園になっている。

ツアーの集合場所まではほぼ一本道ですが、その途中の小道から海岸に降りることができます。

小道はあまり整備されていないので、歩きやすい靴で行くことをお勧めする。
小道はあまり整備されていないので、歩きやすい靴で行くことをお勧めする。

なんとそこにはキタゾウアザラシが!!

保護区外でも少数のキタゾウアザラシが上陸するらしい。突然の出会いに感動。
保護区外でも少数のキタゾウアザラシが上陸するらしい。突然の出会いに感動。

特にガイドもいないので、個人で適切な距離を保ちながら観察します。

キタゾウアザラシとは25フィート(約8m)距離を取るように案内板が立っている。
キタゾウアザラシとは25フィート(約8m)距離を取るように案内板が立っている。
柵などは一切ないので、ルールを守って観察しよう。
柵などは一切ないので、ルールを守って観察しよう。

見ている間にもアザラシが上陸してきます。

他のアザラシも上がってきた。縄張りを持てなかったオスなのだろうか。
他のアザラシも上がってきた。縄張りを持てなかったオスなのだろうか。
すぐ近くではサーファーが海へ泳いでいた。ゾウアザラシがいる海で泳ぐとはどんな気持ちなんだろうか、、、。
すぐ近くではサーファーが海へ泳いでいた。ゾウアザラシがいる海で泳ぐとはどんな気持ちなんだろうか、、、。

オスがメスに求愛している様子も見ることができました。

近くにいたメスに迫るオス。あからさまに嫌がられていた。
近くにいたメスに迫るオス。あからさまに嫌がられていた。

長い年月をかけて形成された西海岸の絶景と、長い旅をしてたどり着いたアザラシの命の営み、、、
太平洋を渡ったここには私たちが今までに見たことない世界がありました。

休んでいるときはとても穏やかな表情。
休んでいるときはとても穏やかな表情。
大きな鼻が良く目立つ。
大きな鼻が良く目立つ。
虹がかかってますます幻想的な雰囲気になった。
虹がかかってますます幻想的な雰囲気になった。

次回はついにツアーの様子を紹介します。
写真や動画が盛りだくさんなのでぜひご覧ください!

もっとキタゾウアザラシの生態を知りたい方は、こちらもご覧ください。

『日本の鰭脚類 海に生きるアシカとアザラシ』の紹介

今回紹介するのは、『日本の鰭脚類 海に生きるアシカとアザラシ』です。

ISBN:978-4-13-060239-6
出版社:東京大学出版
著者:服部 薫 編
初版出版:2020年7月20日
サイズ:A5 278ページ
定価:6,900円+税

この本の魅力

 各分野の専門家が自身の研究例を中心に深堀りしている
 入手困難な論文も多く引用されている
 ひれあし類の国内での管理状況もわかる

各分野の専門家が自身の研究例を中心に深堀りしている

『日本の鰭脚類』はひれあし類だけを取り上げた専門書としては最新の本です(2023年3月現在)。

一番大きな特徴としては、ひれあし類の生態を「狭くても深く」紹介していることです。

まだまだひれあし類はわかっていないことが多いので、すべての種類の生活史を紹介するのは難しいです。そのため、この本では編著者の服部薫さんを含め総勢12名の専門家がご自身の研究例を中心に解説をしています。

現在第一線で活躍されている、本当に豪華な顔ぶれです!

有名な古い論文から最新の知見も紹介されているので、これを読むだけで各分野の全体像が見えてきます。

入手困難な論文も多く引用されている

日本でのひれあし類に関する論文はたくさんありますが、その全てがネット上で見ることはできません。

観察記録とかは卒業論文にしかなってなくて、なかなか手に入らないんですよ、、、。

この本では実際に学生を指導している先生方が書かれているので、入手困難な論文もたくさん引用されています。例えば、上陸場をめぐって競争するゼニガタアザラシの関係性やその時間帯など現地での詳細な観察記録も記載されていました。

国内のひれあし類を知るためには細かい観察記録を見れるのは嬉しいですね!

ひれあし類の国内での管理状況もわかる

日本では過去に毛皮目的などで乱獲されたため、厳重に保護されているひれあし類がいます。逆に漁網を壊したり魚を奪う「漁業被害」が問題視され、駆除されている種もいます。

そのため日本のさまざまな法律でひれあし類は管理されています。

でもひれあし類は種によって関連する法律や行政機関が違うから勉強するのが大変なんです(汗)

この本では保護管理の歴史的な背景から最近の問題までが解説されています。
また現在の管理体制やそれにかかわる研究報告も書かれていますので、ひれあし類とヒトの関わりを知るならぜひおすすめの一冊となっています!

国内のひれあし類は研究が進んでいく途中なので、今のうちに『日本の鰭脚類 海に生きるアシカとアザラシ』を読んで最新の情報を手に入れてみてはいかがでしょうか?



【カリフォルニア科学アカデミー】
伝統と美しさにあふれた標本展示

今回紹介するのは、アメリカ・サンフランシスコ市内にある「California Academy of Sciences」(カリフォルニア科学アカデミー)です。


前回の投稿では、サンフランシスコ市内に暮らす野生のカリフォルニアアシカを紹介しました。

実はサンフランシスコにはアシカやアザラシについて学べる施設があります。
それでは紹介していきましょう!

カリフォルニア科学アカデミーとは?

今回紹介する「カリフォルニア科学アカデミー」はサンフランシスコ西部にある、ゴールゲートパーク内にある世界最大の自然科学系博物館です。

建物の入り口。入館料は大人が約5000円とやや高めだが、展示内容はとても充実している。

開館したのは何と1853年で、150年以上も歴史があります!
2009年にリニューアルをして現在の建物になり、巨大な建物内には博物館、熱帯植物園、プラネタリウム、水族館があります。

建物は大きな公園内にある。地元住民の憩いの場になっている。

標本が充実した施設

生きたひれあし類はいませんが、標本の数や質は世界トップクラスです。
博物館の「Giants of Land and Sea」エリアには海棲哺乳類の全身骨格標本が展示されています。

カリフォルニア周辺に生息している海棲哺乳類を展示していた。

ここではキタゾウアザラシ、ゼニガタアザラシ、カリフォルニアアシカ、トドの4種のひれあし類と、カマイルカ、ハンドウイルカを見ることができます。

解説パネルは基本英語になってしまいますが、標本を観察するだけでも十二分に楽しむことができます。

ヒレの骨も近くで見るとこんなに細かい骨が集まっているのが分かる。
解説パネルには写真やイラストもあるので、読めなくても何となくわかる。
それぞれの種の詳細についても紹介されていた。

キタゾウアザラシの全身骨格は日本国内では見ることができないので、ぜひ見てみてほしいです、、、!

キタゾウアザラシは特にインパクトがある。一つ一つの骨の大きさもけた違いだった。

天井近くの壁には400を超えるカリフォルニアアシカの頭骨が飾られています。

約27mにわたって骨が並んでいる。これでも博物館が所蔵する標本の1/6ほどらしい。

実は標本の中にはカリフォルニアアシカ以外にもセイウチやイノシシなど違う種類の骨が混じっているようです。
その下にあるモニターでは標本の詳細な情報を見ることができるので、じっくりと観察してみくださいね。

遠くて見にくい標本も、モニターで詳しく観察することができる。

標本を触って学べるエリアには「アザラシの調理法」という本が展示されていました。

標本や資料が集められているエリア、一部の標本は実際に触ることができる。
アザラシの解体方法や調理方が書かれた本も展示されていた。

標本以外のエリアも見てみよう

カリフォルニア科学アカデミーの展示エリアの面積は112,000m2と国立科学博物館の上野本館(33,180m2)の3倍以上あります!
軽く見るだけでも2~3時間はかかるほど見ごたえがありますよ。

熱帯植物園のドームでは熱帯雨林の植物を見ることができます。
他にもドーム内では放し飼い蝶と鳥や、爬虫類や虫を見ることができます。

建物の中にさらに植物園がある。
ドーム内の植物の蜜を吸う蝶。本当に熱帯雨林に入ったような感覚になった。

ドームの最上部にあるエレベーターに乗ると水族館へ移動します。

水族館の最初のエリアは、熱帯雨林のドームの真下になる。
熱帯雨林を水中から見ることができる。

メインエリアではカリフォルニアに生息する生き物を展示しています。
ここが地下であることを忘れるほどの大水槽もありました。

水族館では900種以上の生き物を見ることができる。


生きたひれあし類はいませんが、カリフォルニアアシカの頭骨と生態を解説したパネルが展示されていました。

地元の自然を語る上ではアシカは欠かせない。

カリフォルニア科学アカデミーの水族館は世界的にも歴史が長く、地元の生物相の研究の拠点としても活躍してきた施設です。
展示の美しさもさることながら、生き物について学べる素晴らしい施設です。

環境を再現した水槽が印象的だった。
カリフォルニアの海を再現した水槽では、育成が難しいサンゴがたくさん展示されていた。

サンフランシスコには観光スポットもたくさんありますが、ぜひカリフォルニア科学アカデミーにも行ってみてくださいね!

ピア39のカリフォルニアアシカ

観光名所にアシカが!?

今回紹介するのは、アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコにある、ピア39で暮らすカリフォルニアアシカです。

サンフランシスコのシンボルである、ゴールデンゲートブリッジ。

野生のひれあし類を見るには、日本ではほとんどが真冬の北海道です。
とても辛いですよね…。

ですがピア39はおしゃれな観光地で、気候も本州とあまり変わりません。
そんなところでたくさんのアシカを目の前で見ることができます!
早速紹介していきましょう!

サンフランシスコのピア39

場所はサンフランシスコ最大の観光地でもある「フィッシャーマンズワーフ」の中にある「ピア39」です。

ピア39は水族館、アトラクション、クルーズなど観光客が1日中楽しめるエリアとなっています。
そのエリアの奥にある港の桟橋にカリフォルニアアシカが集まります。

ピア39はサンフランシスコ観光では外せない場所。
ピア39のKドックというポイントでアシカを見ることができる。

アシカをゆっくり観察しよう

早速アシカがいます!

イカダの上はアシカだらけ、、、!
私のプロフィール写真もここで撮影したもの。なんともいえない表情がたまらない。

ここでは1年中カリフォルニアアシカを見ることができますが、個体数は年や季節などで大きく変動するようです。
多い時には2009年11月に1701頭という史上最高の記録が残っています。

私は今までに1月と12月の2回訪問したことがありますが、全く見れなかったことはありませんでした。
時間によって数が変わるので、買い物をしながら何度も様子を見ていました。

場所を取り合って小競り合いすることも。
ケンカをする割にはくっついて休んでいる。
当サイトのバーナーに使っているこの写真もピア39で撮影した。艶やかな毛皮が美しい。

初夏には成熟個体が繁殖のためにチャンネル諸島などの繁殖地に移動します。
そのためピア39で見れる数が減ってしまうので、冬に行くのがおすすめです!

訪問したのは1月と12月。数が少ない日はあったが、全くいない日はなかった。

ピア39にアシカが集まるようになったのは1989年。
当時サンフランシスコで起きた大地震で港内に避難してきたのがきっかけともいわれてますが、詳細は不明です。
ピア39周辺にはエサとなる魚が多く、天敵のサメなどが入ってこれないことが、アシカが集まり続ける要因になっています。

港の中をアシカがゆったりと泳ぐ。

アメリカでは「海棲哺乳類保護法」によって、エサやりや捕獲、船や人がアシカに嫌がらせをすることは禁止されています。

昔はピア39には今よりたくさんの船が停泊していたそうです。
1995年以降はアシカに場所を譲って他の場所に停泊するようになりました。

現在でも港に船はあるが、アシカはあまり気にしてなさそうだった。

サンフランシスコ市の近くにある「The Marine Mammal Center」では、弱ったひれあし類の保護・治療が行われています。

腹に傷を負ったアシカ。傷は古くそこまで痩せてないが、必要になれば保護されるだろう。

ピア39公式HPではライブカメラで現地のアシカを見ることができます(ただし時差に注意!)。

ピア39の写真や動画

アシカ以外にも見どころが満載!

ピア39をはじめとしたフィッシャーマンズワーフにはシーフードレストランやお土産店が立ち並び、一日中遊ぶことができます。

アシカ以外にも楽しめる場所が多いので、事前に計画を立てて行こう。
フィッシャーマンズワーフのシンボルにもなっているダンジネスクラブ。日本では食べることができない逸品。
酸味のある特製パンに入ったクラムチャウダーは絶品、ぜひとも食べてほしい。
ピア39の目の前には脱走不可能といわれたアルカトラズ島がある。ここも観光船で行くことができる。

ひれあし類はいませんが、「Aquarium of the Bay」という水族館もあります。
ここではサンフランシスコ周辺に生息する生き物を見ることができます。
日本では激レアな生き物も見ることができますのでおすすめです。

規模はそこまで大きくないので、時間が余ったときにおすすめの場所。
日本とは違った自然を垣間見ることができる。
日本ではほぼ見られないカリフォルニアドチザメ。

サンフランシスコは日本から直行便も出ていてとても行きやすい場所です。
ぜひ一度遊びに行って、野生のアシカに会いに行ってくださいね!

『世界で一番美しいアシカ・アザラシ図鑑』は写真も内容も盛り沢山!

今回紹介する書籍は、当サイトでひれあし類の生態を紹介する際よく参考にさせていただいてる本『世界で一番美しいアシカ・アザラシ図鑑』です。

この本の魅力

 写真が息を呑むほど美しい
 全てのひれあし類が載っており、地域ごとに詳しく紹介
 ひれあし類の現状に関する最新の知見が盛りだくさん!

写真が息を呑むほど美しい

本のタイトルにもあるように、とにかく写真が美しいんです。この本の編著は日本人の水口博也(みなくち ひろや)さんです。
水口さんは40年にわたり世界の第一線の生物写真家として活動されています。

1年の半分は海外で取材をされているそうで、ひれあし類以外にも鯨類やペンギンなどさまざまな野生生物を撮影されています。近年は環境問題にも関連して北極や南極での取材も行っているそうです。生き物業界ではまさに生きるレジェンドと言えます。

この図鑑も水口さんが実際に現地で撮影したひれあしの写真がたくさん掲載されているんです。

海と陸の世界を巧みに生きるひれあし類の美しさがその1枚1枚で表現されています。水中の写真もたくさんあり、中には北極や南極などの極寒の海で撮影されたものも、、、並大抵の人には立ち入ることすらできないですよね。

アザラシといえば「かわいい」イメージがありますが、彼らは間違いなく野生動物で、命を懸けた暮らしをしています。そんなひれあし類の逞しさや美しさが伝わってくる写真ばかりです。

そんな水口さんの魂が込められた写真を見るだけでひれあし類が好きになること間違いなしです!
水口さんの最近の書籍は、「Earth Scene水口博也のサイト」  からご覧いただけます。

全てのひれあし類が載っており、地域ごとに詳しく紹介

魚や虫、鳥などの生き物の図鑑では、実際は全ての種類が記載されていないことが多いです。種類が多すぎたり、資料が足りなかったりと理由は様々です。

ですがこの本では世界中に暮らすひれあし類が全て掲載されています。しかもそれらが「北極海」、「東部太平洋」など各海域ごとに紹介されています。各章を見るだけでも、どこにどんなひれあし類がいるのかが分かるようになっています。

違う海域で見れる場合は同じ種でも各章で再度紹介されています。海域によっては同じ種類でも生態や外見が少しずつ違うので、その詳細を美しい写真で知ることができます。

ひれあし類の現状に関する最新の知見が盛りだくさん!

この本ではそれぞれのひれあし類の生態以外にも、進化や汚染物質など各分野の専門家による解説がコラムとして載っています。

例えばひれあし類の祖先はどこで生まれていつ世界中に広がっていったのか?アザラシやアシカの祖先は同じなのか?といった疑問について詳しく紹介されています。引用文献も載っているので、もっと興味がある方は本からさらに論文へ辿っていくのも面白いかと思います!

図書出版 創元社の公式TwitterとYoutubeでも本の内容を詳しく紹介しています!



アシカやアザラシについて詳しくなりたい、最初に買う本はどれかわからない、、、という方にはぜひ『世界で一番美しいアシカ・アザラシ図鑑』をお勧めします!

【マリンワールド海の中道】
「うみなかCUBE」は必見!

九州の海を再現した大規模な水族館

マリンワールド海の中道は福岡県福岡市にある大型の水族館で、「九州の海」をメインテーマに350種3万点の生き物を展示しています。年間約94万人が利用している超人気水族館の1つなんです!(全国の水族館ではTop10ぐらい)

水族館の外観。コンサート会場のようなインパクトがあった。
水族館の外観。コンサート会場のようなインパクトがあった。


2017年に大規模なリニューアルを行い、より地元に特化した素晴らしい展示が増えました。大人も子供も楽しめる魅力たっぷりの水族館となっています。

玄界灘を再現した水槽では、荒波の中をたくましく生きる魚を見ることができる。

ひれあし類は全部で2種類

マリンワールド海の中道ではカリフォルニアアシカゴマフアザラシの2種類を見ることができました。

カリフォルニアアシカ
ゴマフアザラシ

うみなかCUBEでアザラシに囲まれよう

ひれあし類が見られるのは、1階の屋外エリアにある「かいじゅうアイランド」です。ここでは陸場と水中の両方からゴマフアザラシとカリフォルニアアシカを観察することができます。

来訪時はあいにくの雨だったが、屋根があるので安心して見ることができた。


水中観覧エリアは「うみなかCUBE(キューブ)」と呼ばれる部屋になっていて、足元、側面、頭上も全てガラス張りになっているのでまるで水槽の中に入り込んだような雰囲気を味わえます。

うみなかCUBEの風景。幻想的な空間になっている。


真ん中にある柱の水槽は、上下からアザラシが出入りできるようになっています。かなり好奇心旺盛な個体がいたので、追いかけっこをしているうちに柱の中に入ってくれました。

人が歩いたり手を振ると付いてきた。ひと時だけアザラシを独り占めできる。


水中は白い階段状の床が広がっていましたが、陸上は岩場を再現した雰囲気になっています。2つのプールに分かれていてゴマフアザラシ&カリフォルニアアシカ(メス)と、カリフォルニアアシカ(オス)がそれぞれ展示されていました。

トレーナーが出入りするドアをしきりに気にするアザラシとアシカ
カリフォルニアアシカのメス。すっきりとした顔立ちが印象的だった。
給餌中はトレーナーがアザラシの体を触って健康状態を確かめたり、目薬をしていた。


オスのカリフォルニアアシカは1頭だけで飼育されていました。

オスはメスよりも体が大きいのでよく目立つ。


立派な頭のコブはオトナの証。頻繁に上陸していたので、じっくり観察することができました。

メスと違って、オスの頭には大きなコブがある。


マリンワールド海の中道では過去にアシカの赤ちゃんが生まれたこともあるので、時期によっては一緒に飼育しているのかもしれません。

プール隣には飼育個体の紹介パネルが張ってあった。その隣にあるパネルではゴマフアザラシを「Harbor Seal」と表記していたが、正しくは「Spotted Seal」か「Largha Seal」である。


残念ながら来訪した時には売り切れていましたが、有料でアシカやアザラシに餌やり体験もできるそうです。

購入したエサは給餌用の穴から投入して与えることができる。

ショーにはカリフォルニアアシカが登場!

毎日開催されているイルカ・アシカショーではカリフォルニアアシカが登場します。ボールバランスなど、アシカらしい器用な種目を披露していました。

背景に地元の美しい海を見ることができるショープール。
アザラシと違い、アシカは前肢が発達しているので倒立ができる。

マリンワールド海の中道の様子はYoutubeでも紹介しています。

ひれあし類以外のみどころ

マリンワールド海の中道は九州近海で見られる生き物を多く展示しています。
外洋大水槽では巨大な「シロワニ」というサメがひと際目を引きます。

恐ろしい顔立ちをしているが、性格は温厚なシロワニ。


沿岸域に暮らす小型のイルカ「スナメリ」は愛嬌たっぷりの動きでついつい水槽前に長居してしまいます。

まるで微笑んでいるような顔立ちをしているので、とても可愛らしい。


日本では九州沿岸のみに生息する「ムツゴロウ」も見ることができます。

ムツゴロウは干潟に生息する魚で、泥に巣穴を掘って暮らしている。


1階にあるレストラン「restaurant Railly」ではイルカショープールを泳ぐイルカやクジラを見ることができます。料理は見栄えが良く、味もとても美味しかったのでお勧めです!

目の前をイルカやクジラが泳ぐ、ショー中に行くのがおすすめ。
「塩サバとキャロットラペのチャバタサンド」。サバのうま味とさっぱりしたドレッシングの組み合わせが最高だった。

セイウチとトドの違いは?

セイウチとトドって何が違うのでしょうか?どちらも水族館で見ることができるのですが、イマイチ説明はできないという人も多いと思います。今回はそんなセイウチとトドの生態について比べてみました!

外見の違い

セイウチの大きな特徴は口からはみ出すほどの大きな牙です。牙はメスもオスもどちらも持っていて、氷の上に上がる時の支えやオス同士の争いの時に役立ちます。(例外としてコドモの頃や、抜歯した個体では牙が見えないことがあります)

コドモのころは短い牙は成長とともに伸びてくる。1mを超えることもある。
コドモのころは短い牙は成長とともに伸びてくる。1mを超えることもある。

それに対してトドにも鋭い牙はありますが、口からはみ出すほどではありません。この牙は魚を咥えるときに役立ちます。

コドモのころは短い牙は成長とともに伸びてくる。1mを超えることもある。
トドの牙はセイウチよりはるかに小さい。しかし鋭いので噛まれたらひとたまりもない。

他にもセイウチには耳介(耳たぶ)がなく、目の横にある耳は穴が開いているだけになっています。

セイウチ:目の後ろにある小さな穴が耳の穴。
セイウチ:目の後ろにある小さな穴が耳の穴。

トドには小さいですが耳介があります。これはセイウチとトドを見分けるのにとても分かりやすい特徴ですね!

トド:目の後ろには小さいが耳たぶがある。
トド:目の後ろには小さいが耳たぶがある。

またセイウチにはほとんど体毛が生えていないので、肌がむき出しになっています。体は紫がかったピンク色をしていて、体温が上がるとより赤味を増します。

セイウチの顔周辺。よく見ると少し体毛が見えるが、ところどころ皮膚が露出している。
セイウチの顔周辺。よく見ると少し体毛が見えるが、ところどころ皮膚が露出している。
セイウチのオトナとコドモ。年齢によっても肌の色が違っている。
セイウチのオトナとコドモ。年齢によっても肌の色が違っている。

それに対してトドには短い体毛がたくさん生えて、オトナのオスは首の周りの毛がたてがみ状になっています。体は茶色~金色をしています。

トドの体色。体が濡れていると茶色に見える。
トドの体色。体が濡れていると茶色に見える。
トドの首周辺。びっしりと体毛が生えていて肌は見えないのが特徴。
トドの首周辺。びっしりと体毛が生えていて肌は見えないのが特徴。

生物学上の分類の違い

セイウチもトドも同じ哺乳類で、鰭脚類(ききゃくるい、ひれあしるい)というグループの仲間になります。ひれあし類には他にもアシカやアザラシも含まれます。

ひれあし類の分類図。
ひれあし類の分類図。

生息地の違い

セイウチは北極や亜北極などの特に冷たい海域に生息しています。夏にはメスやコドモは海氷に乗って生活します。

オスがコドモを踏みつぶしてしまわないように、メスとコドモは海氷上で生活する。
オスがコドモを踏みつぶしてしまわないように、メスとコドモは海氷上で生活する。

トドは北太平洋やベーリング海、オホーツク海に生息しています。セイウチと異なり、流氷を避けるように生活場所を変えています。秋~初夏までは日本周辺にも出現し、北海道の一部の地域では漁港などにも表れます。

トドの群れ。時には数十~数百頭も集まることがある。
トドの群れ。時には数十~数百頭も集まることがある。

エサの違い

セイウチの主なエサは二枚貝やゴカイなどの無脊椎動物です。砂の中に隠れたエサを、口の周りにたくさん生えているヒゲで探し出します。

セイウチはアサリなどの二枚貝などを好む。
セイウチはアサリなどの二枚貝などを好む。
牙以外にも小さい歯が生えているので、それで貝殻を砕いて中身を食べている。
牙以外にも小さい歯が生えているので、それで貝殻を砕いて中身を食べている。

トドの主なエサはマダラやイカナゴなどの魚やタコなどの頭足類です。捕らえたエサは丸呑みしますが、大きなエサは牙で抑え込んだうえで振り回してちぎって食べます。

トドは世界最大のタコであるミズダコもよく食べている。
トドは世界最大のタコであるミズダコもよく食べている。
小さい魚は丸呑みしてしまう。
小さい魚は丸呑みしてしまう。

まとめ

いかがだったでしょうか?セイウチのトドは似ているようで、その生態には様々な違いがありました。別のページでは、それぞれの詳しい生態や国内で見ることができる施設も紹介してますので、ぜひご覧ください。

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