作成日:2024/5/9 更新日:2024/5/9
英名 | Ringed seal |
学名 | Pusa hispida |
分類 | アザラシ科 ワモンアザラシ属 |
分布 | 北極圏をはじめとした北半球の北部海域 |
大きさ | オス:150cm, 68kg メス:150cm, 68kg (わずかにオスの方が大きくなる報告もある) |
ワモンアザラシとは?
ワモンアザラシは北極海をはじめとした北の海に生息し、日本では冬になると流氷とともに来遊します。
体に輪っかの模様があるので、「ワモン(輪紋)」という名前がついています。
アザラシの仲間では最も小型の種類で、世界中に300万頭が生息しています。
自然界では、ホッキョクグマやセイウチなどのたくさんの大型哺乳類の命を支える餌になっています。
またグリーンランドなどの一部の地域では、食用としてハンターに捕獲されています。
国内ではごく一部の水族館で見ることができ、その愛らしい姿がたびたび話題になっています。
分布・回遊
ワモンアザラシは北極海を含む、北太平洋の北部に生息しており、厚い海氷がある海域では広く見ることができます。(2)
ワモンアザラシは5つの亜種が確認されており、中には淡水に生息しているものもいます。
日本では冬になると流氷とともに来遊し、氷の上で子育てをします。
北海道や青森などの一部の地域では、親とはぐれたワモンアザラシが漂着、保護されることがあります。(4)(5)
食性
ワモンアザラシはイカナゴやホッキョクダラなどの魚類のほか、甲殻類などを食べています。(6)
地域や時期によって食べるものを柔軟に変化させており、年齢や性別によっても利用するエサが違っていることもわかっています。
人間との関わり
北極地域で生活をするイヌイットではワモンアザラシを狩猟しています。(7)
ワモンアザラシの毛皮は柔軟性があるため、靴の側面や手袋に利用しています。
またグリーンランドの一部の地域では「キビアック(Kiziak)」という伝統料理にワモンアザラシを使用します。
内臓や骨を取り除いたワモンアザラシの毛皮に、海鳥を詰め込んで数カ月~数年地中で発酵させます。
実際に食べるのはアザラシではなく中身の海鳥なのですが、実際に食べた北極冒険家の萩田泰永さんの感想によると、
だそうです。
かつての極北地域では野菜が手に入らなかったことから、キビアックは貴重なビタミン源として重宝されていました。
ワモンアザラシは北極域の広い範囲に分布しており、その個体数は正確には分かってはいません。
それでも最新の研究では300万頭は生息していると考えられており、絶滅の心配はないと判断されています。(9)
ワモンアザラシに会える動物園・水族館
〇北海道
アザラシランド (オホーツクとっかりセンター)
おたる水族館
〇関東
鴨川シーワールド
参考資料
.King, J. E. (1983). Seals of the World.(Second Edition) Cornell University Press, Ithaca, New York. 240 pp.
2.Hammill, M. O. (2009). Ringed seal: Pusa hispida. In Encyclopedia of marine mammals (pp. 972-974). Academic Press.[Link]
3.Mansfield, A. W. (1963). Seals of arctic and eastern Canada. Seals of arctic and eastern Canada., (137).[Link]
4.Naito, Y. (1976). The occurrence of the phocid seals along the coast of Japan and possible dispersal of pups. Sci. Rep. Whales Res. Inst, 28, 175-185.[Link]
5.桃井綾子. (2023). 青森県沿岸における鰭脚類の漂着記録 (1984 年から 2021 年). 青森自然誌研究/青森自然誌研究会 編, (28), 57-61.
6.Chambellant, M. (2010). Hudson Bay ringed seal: ecology in a warming climate. A little less Arctic: top predators in the world’s largest northern inland sea, Hudson Bay, 137-158.[Link]
7.岸上伸啓 (2007). カナダ・イヌイットの食文化と社会変化. 世界思想社, 京都. 344pp.
8.Hauptmann, A. L. (2021). Inuit Fermentation: Animal-Based & Archaic. In Fermentology. NC State University Libraries. https://doi.org/10.52750/615836[Link]
9.Lowry, L. (2016). Pusa hispida. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e. T41672A45231341.[Link]