作成日:2024/10/17 更新日:2024/10/17

英名South american fur seal
学名Arctocephalus australis
分類アシカ科
ミナミオットセイ属
分布南アメリカの沿岸
(ペルー、チリ、ウルグアイなど)
大きさオス:190cm, 159kg
メス:140cm, 48kg

ミナミアメリカオットセイとは?

ミナミアメリカオットセイはアシカの仲間で、その名の通り南アメリカ大陸の沿岸に分布しています。日本の水族館でも数多く飼育されており、実は国内で見られるオットセイ3種のうち、最も飼育施設が多いのがこのミナミアメリカオットセイです。


分布・回遊

ミナミアメリカオットセイは南アメリカ大陸の沿岸に分布しています(2)

ミナミアメリカオットセイの分布。 Cárdenas-Alayza (2018)を参考に作成。


大規模な回遊はしませんが、季節(繁殖期と非繁殖期)で出現する範囲が変化している報告があります。(2)

ミナミアメリカオットセイの分布と繁殖地。

同じ地域ではオタリアも生息していますが利用する場所に違いがあります。陸上ではミナミアメリカオットセイは岩場を好むのに対しオタリアは砂浜をよく利用します。またミナミアメリカオットセイは深場で採餌するのに対し、オタリアは浅場で採餌することで、競争を避けていることが分かっています。(3)(4)
また、オタリアがミナミアメリカオットセイを捕食した報告もあるので、時と場合によってはオタリアが天敵となることもあります。(5)

ミナミアメリカオットセイのメス。とがった鼻先と長い体毛が目を引く。
オタリアのメス。ミナミアメリカオットセイと比べて鼻先が丸いのと体毛が短い。



エサ

ミナミアメリカオットセイは主にイワシやニベなどの魚やイカなどを捕食します。
また環境の変化に対応するように、季節や場所によって利用する魚種を変えています(日和見的捕食者)。(6)

世界中に生息するイワシの仲間は、多くのひれあし類の主なエサとなっている。
ヤリイカ科もミナミアメリカオットセイの主なエサになっている。


人との関わり

現在では商業的な捕獲は禁止されていますが、一部の漁業で混獲が起きていることが報告されています。
現在は個体数は増加していますが、沿岸で密集して繁殖をすることから、油流出や病気の流行の影響を大きく受けます。

1997年2月にはウルグアイ南部のロボス島沿岸で原油の流出事故がおき、生後2~3か月の赤ちゃん(パップ)が5000頭被害を受けています。(7)
適切な事後処理やケアによって、この事故による個体数の減少は報告されてませんが、今後も人間活動による影響を注意深く観察する必要があります。



ミナミアメリカオットセイに会える動物園・水族館

〇北海道

登別マリンパークニクス

〇東北
東北サファリパーク

〇関東
那須どうぶつ王国
東武動物公園
アクアワールド茨城県大洗水族館
しながわ水族館
すみだ水族館
マクセルアクアパーク品川
新江ノ島水族館


〇東海
竹島水族館
伊勢シーパラダイス

〇中国
神戸どうぶつ王国
京都水族館
桂浜水族館
宮島水族館

〇九州
大分マリーンパレス

参考文献

1.King, J. E. 1983. Seals of the World.(Second Edition) Cornell University Press, Ithaca, New York. 240 pp.
2.Susana Cárdenas-Alayza(2009).South American Fur Seal: Arctocephalus australis . In Encyclopedia of marine mammals (pp. 905-907). Academic Press.[Link]
3.Franco-Trecu, V., Aurioles-Gamboa, D., & Inchausti, P. (2014). Individual trophic specialisation and niche segregation explain the contrasting population trends of two sympatric otariids. Marine Biology161, 609-618.[Link]
4.Thompson, D., Moss, S. E., & Lovell, P. (2003). Foraging behaviour of South American fur seals Arctocephalus australis: extracting fine scale foraging behaviour from satellite tracks. Marine Ecology Progress Series260, 285-296.[Link]
5.Harcourt R. 1993. Individual varriation in predation on fur seals by southern sea lions. Canadian Journal of Zoology, 71(9), pp.1908-1911.[Link]
6.de Lima, R. C., de Albernaz, T. L., Secchi, E. R., Cebuhar, J. D., & Botta, S. (2024). Feeding habits of South American and sub‐Antarctic fur seals during their nonbreeding season in the southwestern Atlantic Ocean. Marine Mammal Science40(1), 26-53.[Link]
7.Mearns, A. J., Levine, E., Yender, R., Helton, D., & Loughlin, T. (1999, March). Protecting fur seals during spill response: lessons from the San Jorge (Uruguay) oil spill. In International Oil Spill Conference (Vol. 1999, No. 1, pp. 467-470). American Petroleum Institute.[Link]